- ナノ -

容赦がなかったB
その後。
その後が大変だった。
なんか魔物にあったり、戦闘に駆りだされたり、思いっきり素人満点さを出したら青年に怒鳴られたり、なんなの? 私は死ぬの?
危なくなればレイヴンさんが助けれてくれたが、もうキツイ。涙が出ちゃう。元女の子だもん。
といっても外見男の大のおっさんが泣いても惨めなだけなのでそんなことはしません。くそう。

「どうしてこうなった…んですか」
「腕試しだ。今後、役に立つかどうかも兼ねてるがな」

だからどうして腕試しという名の決闘になった!?

さて、状況がさっぱり理解できない。どういうことだろう。
あの後、どうにか森を抜け、何処かの町に着いた。それはいいのだが、その後出会ったローウェル君の仲間達が怖かった。
もう、だって出会った瞬間に武器向けてくんだもん。剣向けないで、斧向けないで、槍向けないでくださいお願いします。
思わず引いたらそれはそれで驚かれるし、なんなのほんと。

しかもレイヴンさんやローウェル君を交えてそのメンバーで話したら、なんか決闘風味な感じで決着をつけようって、私はどうしたらいいの。
頼みのレイヴンさんも複雑な表情しかしてくれないし、というか、他のメンバーに叱られている。しゃきっとしなさい!って感じに。

服装はそのままだ。どうやらこれだけでも武装服らしく、それなりの防御力はあるらしい。
ファンタジーっぽい服装だからもしかしたらと思ったら。本当にそうだったとは。
日本と中華を割ったような服装にブーツ。片方は肩までで片方は手首までの長袖。
剣も貸してもらって微妙に長い髪も括らせてもらったわけですが……本気で決闘するの?本気?本気なの?

思いっきり引け腰なわけですが、ちゃんと距離が取れる草原につれてこられたわけですし、もう無理そうですね。死ねる。
とりあえず剣を握るが、くそぅ。いくら外の人がつよかったっぽいからって、中の人までそうとは限らないんだぞ!
あと、傷が痛いんですけど。激しく動いたら傷口が開くフラグ満々なんですけど。

「あのだな――」
「……行くぞ」

なるほど、分かりました。聞く耳ゼロですね。


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bkm