- ナノ -

炎の色は
ガロ成り代わり
バーニッシュじゃないけどプロメアが目に見える。体内のプロメア
なので、プロメアの様子でその人の感情も読み取れる。バーニッシュ専用の心理探知機。
なのでクレイの心情がはっきり見てえ「おうふ」ってなる主


気づいたら転生していた私ですが、気づいたら家が燃えていました。そんな馬鹿な!
両親は寝ていたので、どうにか起こして一緒に外へ! と思ったんだけど、もう両親の寝室は燃えていて――瓦礫で道も塞がっていたから、どうにもならないと一人で家の外へと逃げた。
今思い出しても胸が痛くなる。けれどその時に聞こえてきた周囲の声もよく覚えている。

『燃えた、燃えてる、燃えてしまった、燃やしてしまった』
『どうしよう、止まらない、火が、僕は――』

声というのだろうか。想いというのだろうか。ここまではっきりと音で聞こえてきたのはこの時だけだ。
それでも強い困惑と強烈な後悔と、混乱と苦しみと。
そんなものが聞こえて、その中をなんなのかもわからないまま必死で走って走って。
玄関から飛び出して、声の主へとたどり着いたのだ。


それから、私はその声の主の家に世話になることになった。
正直、複雑である。
世話になることになった人はクレイ・フォーサイトといって、まだ学生だ。
柔和な表情と立派な体格を持つ青年で、今はバーニッシュに対抗する研究をしているそうだ。
だが、私は分かってしまっている。彼が『バーニッシュ』であることを。
そして彼が私の家を事故で焼いてしまったことも。

その件については誰にも言っていないので、彼が犯人だとは知れていない。
なにせ状況が状況だったし、あれは事故だ。
それに――あの炎が彼の心境を物語っていた。『焼いてしまった』『僕のせいじゃない』『なんでこんなことに』。あんな声を聴いて、この人が家を焼いた犯人です。なんて言えなかった。

私はバーニッシュではない。火は操れない。けれど、なぜか分からないがあの火事の一件から『炎の声』が見えるようになった。
炎はその人の体内にある。ゆらゆらと燃え盛っていて、その人が持っている感情によって色や温度、そして声を変える。嬉しそうな笑い声、恐ろしい怒鳴り声、力ない時は炎は小さく消えそうで、悲しんでいるときは冷たい青い色。
その炎は、恐らくバーニッシュの人の身体にしかない。一般の人を見ても、そんなものは見えないし、自分にも感じられない。
けれどなぜか、バーニッシュの人の身体に見えるのだ。

何かの病気か幻覚か、とも思ったが、身体には害がないし放っておいた。口に出すのも彼の前では憚られた。

「よろしくね、ガロ君」
「うん……クレイさん」

クレイさんの右手を握りながら道を歩く。これからは彼と一緒に暮らすこととなる。
彼を見てみれば、身体の左の方――心臓部分に炎が見える。弱弱しいが、確かに燃えているそれは、苦悩や悲哀、混乱を映し出し痛々しい。
やっていけるだろうか。そんな不安を抱えながら、その手を握り返した。

……あれ、一瞬炎の色、黒くならなかったか……?

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bkm