- ナノ -

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可愛い可愛い弟たちがいたのだ。
愛らしい見た目で俺の後ろを着いてきて、金持ちのぼんぼんらしくふやけた考え方をしていて、荒い金の使い方をしていて、それを咎めて現実を突きつけるのが俺の役目だった。
ふわふわとした目付きはどんどんと精悍なものとなっていき、肉がついていた幼児の腕は筋肉質となり、どんどんと青年の形相を表していった。
そうやって変わっていっても、彼らは俺を兄と敬った。
自分たちよりも物事をよく分かっている大人として、接した。
それがくすぐったくて、そうして嬉しかった。


「生江将軍は、曹操軍の将軍らとお知り合いなのですか?」
「え? ああ、そうだけど。それがどうかしたのか?」
「いえ……知人同士、刃を交えるのは些か想う所があるのではと」

張遼の指摘は、俺自身のことを心配しているのに加えてそのせいで刃が鈍らないか懸念しているのだろう。
鋭い目付きがこちらを射抜くのを見返しながら、軽く返す。

「知人というか、家族のようだったな。血は繋がってなかったし、あいつら金持ちだし、相違点の方が多かったのに、随分懐いてくれてたもんだ」
「それなら尚更では」
「ああ、平気だよ」

今でも思い出せる。後ろをついてきていたあいつらの顔。
孟徳、元譲、妙才、子考。可愛いやつらだったなぁ。
頬を綻ばせると、訝しげな視線を貰った。何を笑っているのかと問いたいらしい。

「ほら、あるだろ」

同意を求めて、その瞳を見つめ返す。
まるで何かを確かめるようにこちらをじっと見つめる三白眼に、俺の笑みが映る。

「可愛さあまって憎さ百倍って」

俺の場合は、可愛さあまって愛が千倍だけどな!!
知ってるか、愛って降り積もると山になって、そのまま崩れるんだぜ。

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bkm