恋しくて、恋しくて6

郭嘉
「やあお嬢さん、今日も美しいですね。」
王元姫
「ええ、どうも。」

郭嘉が元姫に接近中。
司馬師は隠れてみている。
何かしでかさないように、宗茂がその体を抑えるのだった。

司馬師
「いったい何をするというのだ。」
宗茂
「まぁ、簡単に言えば比較”ですよ。」
司馬師
「比較?」
宗茂
「あなたがとった行動を、郭嘉殿がとったら、彼女はどう反応するか。」
司馬師
「私がとった行動?」
宗茂
「積極的にでしょ?」
司馬師
「なっ!!!!止めなくては!」
宗茂
「大丈夫ですよ。それよりよく見ていてくださいね。」
司馬師
「しかし!このままでは郭嘉殿が!」
宗茂
(そちらの心配をするのはあなたらしいですね。
でも、本心では嫉妬心が芽生えていませんか?)



郭嘉
「いい天気ですね。」
王元姫
「そうですね。」
郭嘉
「今日はお暇ですか?」
王元姫
「ええ、まぁ。」
郭嘉
「なら。」

元姫に近づいていく郭嘉。
元姫は自然と後ずさりしていく。
しかし郭嘉は壁際まで元姫を追い詰める。


司馬師
「元姫!」
宗茂
「静かにしていてください。」(ほら本音でた。)

元姫
「何ですか?」
郭嘉
「お酒でも飲みながら、二人のこれからについて語り合いませんか?」
元姫
「顔が近いです。」
郭嘉
「その美しい顔を、もっと近くで見たいのです。」
元姫
「やめてください。」

司馬師
「宗茂、離せ!」
宗茂
「だめです。」
司馬師
「ぬぅ・・・・。」

だんだんと近づく郭嘉。
元姫の堪忍袋の緒も切れました。

元姫は標を取り出し投げつけた。
郭嘉の服に刺さり、彼は壁に貼り付けられた。

元姫
「冗談にしてもほどがあります。さよなら。」

そうして元姫は去って行った。

宗茂
「司馬師殿。あなたが迫ったとき、彼女はあんなことしましたか?」
司馬師
「・・・・・。」
宗茂
「そういうわけです。だからもっと自信を持ってください。」
司馬師
「・・・・・・・・・。」
二人は貼り付けにされた郭嘉のもとへと行く。

宗茂
「無茶な実験をされましたね。」
郭嘉
「肝が冷えました。さぁ、外してください。」
宗茂
「ええ。」

標を抜こうとした宗茂の手を、司馬師が止めた。
宗茂
「司馬師殿?」
司馬師
「郭嘉殿、悪い。」
郭嘉
「いえ、あなたが理解してくれたなら。」




司馬師
「一発殴らせろ」
郭嘉
「え?」

言葉をこれ以上発することなく、司馬師はこぶしを振りかざした。

宗茂
「司馬師殿、郭嘉殿は本気だったわけでは・・・。ねぇ!」
郭嘉
「え、ええ・・・一応。」
司馬師
「一応?」
郭嘉
「司馬師殿抑えて。」
宗茂
「さっきからおとなしいと思ったら、理解じゃなくて怒って・・・。」
司馬師
「郭嘉殿。」
郭嘉
「なんだい?」
司馬師
「近くで見ると綺麗であったろ。」
郭嘉
「そうだね、司馬昭殿にはもったいない。」
司馬師
「それが本音か。」
郭嘉
「え?・・・あ。」

司馬師は一層こぶしを握りしめた。
郭嘉
「ごめんなさい悪かった!せめて素手で!その鉄鋼のまま殴るのは!!!!!!」



次の瞬間、
屋敷中にと響いた。


ガシャアアァァァァン!!!!!



元姫
「なに?」

一度は振り返ったが、そのまま寝室へと去っていく。

翌朝。

司馬師が道を歩いていると
向こうから元姫が歩いてくる。


司馬師
(元姫・・・。)

元姫は手に花瓶を持っていた。
花瓶に刺さっている花は見覚えのある花だった。

元姫
「子元殿、おはようございます。」
司馬師
「あ、ああ・・・おはよう。」
元姫
「・・・子上殿の部屋の前の壁が壊れていましたね。」
(昨日郭嘉殿を貼り付けにした場所だけど・・・。)

司馬師
「あ、ああ・・・そうみたいだな。」
(昨日郭嘉殿を思い切り殴ろうとした場所だ・・・。)

「・・・・・・・・。」
「・・・・・・・・。」

司馬師
「そういえば、これが刺さっていた。」

そういって標を手渡す。
元姫
「あ・・・・・ありがとうございます。子元殿、そのお手は?」
司馬師
「ああ、・・・ちょっと怪我を。」
元姫
「すぐにお手当てを。」
司馬師
「心配ない。」
元姫
「・・・・・・・・そうですか。」

「・・・・・」
「・・・・・」


司馬師
「元姫、その花は?」
元姫
「これですか?先日大量の花が部屋に届きまして。
とてもきれいなので、城中に飾ろうかと思いまして。」
司馬師
「そ、そうか。お前の部屋にも飾ってあるのか?」
元姫
「ええ、少し多めに。」
司馬師
「そ、、、そうか。」
元姫
「私は・・・。」
司馬師
「ん?」

司馬師は唾をのんだ。

元姫
「積極的に好意を表してもらうのも悪くはありませんが、
こうやって内なる思いをこっそり伝えてもらうのも好きです。」

その時の元姫はとても笑顔に見えた。
心が洗われるようだった。

司馬師
「そ、そうか。そうか!そうかぁ。はははははは・・・。」

ご満悦の司馬師は、その場から逃げるように去って行った。

元姫
「子元殿、嬉しそう・・・。」
その顔にまた胸がトクンと鳴る。


元姫
「私ももう少し積極的にならないと。」

そうして花瓶を一つ飾る元姫だった。
司馬師の使う香のかおりが微かに漂う花を・・・。







おまけ。

司馬昭
「なんで俺の部屋の壁、こんな崩れてんの!?」諸葛誕
「日ごろの行いの悪さでしょうな。」




おまけ2
宗茂
「なんとか殴られずに済みましたね。」
郭嘉
「理性が働いてくれてよかった。あのままだったら死んでいましたよ。」
宗茂
「あの二人の距離、縮まりませんね。」
郭嘉
「まぁ、あのまま見ていても面白いのですけどね。」

清正
「宗茂!お前最近どこに行ってた!」
宗茂
「清正〜。」(抱)
清正
「だからすぐに抱きつくな!」

郭嘉
「ははっ。愛の形は人それぞれってことかな?」




END

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