井戸の願い

何を会話しろというのだ。


清正は井戸の中に座り込んだ。
となりには同じ姿勢で司馬師が座っている。

「・・・・・。」
「・・・・・。」

まったく接点のない人だったため、何を話していいか。



いや、ある。


「司馬師殿は、なんでここに。」
「わからぬのだ、誰かに背中を押されたようで。」

どうやら意図的に落とされたようだ。
この人も俺も。

「時に、なぜここに?」
「え?立花の家に行く途中だったんだ。
どの道も塞がれていたらここにたどり着いてな。」

「お前もだったか。」

「お前も?」

司馬師が九州に?
何の用だっただ???



一方宗茂

ギン千代が出て行って数時間後、
来客を連れてきたギン千代。
来客は彼女だった。


「なんだ、君だったのか。良く似合っているよ、元姫殿。」
「お褒めの言葉、ありがとうございます。」
「しかし、うちの祭りに来ているとはな。」
「ギン千代殿に呼ばれたんです。」
「ほう。」
ギン千代も浴衣に着替えていた。
「立花の祭りで、気になるものと花火を見れば末永く愛し合えるという話だ。」
「ああ、それか。で、ギン千代が誘ったのか。」
「そういうわけだ。貴様と清正だけの花火ではないのだからな。」

「言ってくれるな。」

「そういえば、清正殿は?」

いつもなら宗茂の隣にいるはずなのに・・・。

「いや、まったくくる気配がないんだ。誘っていたのだが・・。」
「ここに来る途中、ずいぶん足止めをされました。」
「そうか、それで遅くなっているのか。」
「恐らく。」
「そういう司馬師殿も随分と遅い。」
「あの方は・・・・その・・・ギリギリでも。」


「宗茂、立花はこの者の顔を赤くさせるのが楽しくてしょうがないぞ。」
「お前、俺に似て来たか?」

ふと、元姫はあるコトを思い出した。
「そういえば、ここに来る途中。変な噂を聞きました。」

「噂?」

「そう、立花家の花火の・・・・別の噂を・・・。」

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