井戸の願い

「清正、遅いなぁ。」

数日待っても彼はつかない。

祭りまでまだ数日あるものの、いつもならすぐ来るのにと・・・。


「胸騒ぎがする。」

そのそわそわした姿は、彼女を苛立たせる。

「貴様、少しは黙っていられないのか!
奴も子供ではないのだぞ。」

「子どもじゃないから心配なんじゃないか。」


宗茂は刀をもって外へ飛び出そうとした。

ギン千代はそれを止める。

「もう一人来客が来るというのに、
お前がいなくてどうする。」

「だが。」

「黙って待っていろ。」


ギン千代に道を阻まれた宗茂は
黙って屋敷の中に入っていった。


しかし、本当に奴は何をしているのか。


一方清正は


井戸に落ちていた。

井戸の底はそんなに深くなく、
すぐに尻がついた。

「いってぇぇぇ!!!!」


あたりは真っ暗。

真上には丸い月が一つあるだけだった。


なんで穴に落ちたんだ?

なんか・・・引きづりこまれたような感覚がしたのだが・・・。


そう考えていると、背後から気配を感じた。
誰かいる。

ここに引きずり込んだ奴か!

清正は刀を抜いた。


「安心しろ、私は敵意などない。」

月明かりの下、姿を見せたのは・・・。


「あんたは・・・。なんで。」

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