諦めないで、自分


あたし、今まで全く気づかなかったけれど、元就くんのことが好きかもしれない。
高校が違ってしまった今は、メールしかしていないけれど、わたしは今になって彼が好きだと気づいたのだ。

携帯を片手にベッドに倒れ込んだ。今さっきメールを返したが、メールでは不安な気持ちが増大する。元々元就くんは無口無関心っぽい人だから、ただでさえ喋っているときだって不安になるのに彼はメールではもっと無口無関心になる。

ゴールデンウィークももう終わりだし、どこか一緒に行きたいし遊びたいのに、元就くんにそんなことは言えないし、言ったところでどんな反応が返ってくるかわからない。

溜め息を漏らしてあたしは携帯を握りしめた。と、ヴー、ヴーと無機質な音とともに携帯が震えてわたしはびくりとした。

言うまでもなく今は元就くんとメールをしているので、もちろん彼からのメールだ。
やっぱり好きな人とメールができると嬉しいもので、わたしの心臓は一気に高鳴った。

"貴様、どうせ暇なのであろう"

携帯の小さな画面に写ったこの文字に、チャンスだと感じた。よし、このまま暇だから一緒に遊ぼうとか、誘ってみたらいいのかもしれない。けれど元就くんに断られたらどうしよう。

繰り返されるどうしようにまた溜め息がもれた。駄目だ。わたしには無理。そう思ったとき、携帯のバイブがまた鳴った。
どうせ広告メールだろう、と呆れながらフォルダを見てみればそこには元親の二文字。
まさか元親くんからくるなんて思ってもみなかった。しかも"明日暇か"だなんて送られてきた。いや、これまさかデートの誘いなのだろうか。何て送ろうかうんうんと悩む。だってもし暇って送ってしまえば、明日は元就くんとは遊べないしゴールデンウィークはもう終わり。けれどどうせ元就くんも誘えないだろうし、ゴールデンウィーク最終日くらい元親くんと…なんて色々考えて"暇だよ"とだけ送った。

そして問題は元就くんへのメールだ。
やっぱりこれは誘ったほうがいいのだろうか。あぁ、こういうときこそ恋愛マスターみたいな人と友達になっておけばよかったと後悔する。

しかし、元就くんから返事がきて結構時間もたってしまったし、とりあえずは"暇だから元就くんにメールした"と送ってみた。これはかけだ。もしこれを見た元就くんが願わくば、ならば明日…みたいにあたしを誘ってくれればいい。

ドキドキしながら部屋の隅にひざを立てて座った。携帯を握り締める手が汗ばむ。どうしよう、そしてお願い。
…なんてあたしの願いが通じたのか、バイブが鳴り、メールがきた。恐る恐る開いてみると元親くんからもきている。

"フン、勉強しろ"
…元就くんからのメールは、全く違う方向に反れてしまった。なんだよ、勉強しろって。いや、確かにあたしは頭悪いから勉強したほうがいいけれど…

失望しつつ元親くんのメールを開いた。

"明日元就と遊ぶけどお前も一緒に来ねぇ?"

ま、ままままさかだ!まさかの展開に目がしばしばする。やばいぞ!にやける…!
とりあえず高速で元親くんに返事をし、わたしはベッドに顔を埋めた。

元親くん、君は神様だ!あたしこれからは元親くんとメールするね!




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