君の笑顔に憧れる


もう放課後なので、いつも通り元就くんと帰ろうと思って隣のクラスを覗いたが元就くんはいなくて元親くんがいた。

元親くんに、元就くんがどこに行ったのかを聞けば、彼は先生に呼ばれたそうで、今さっき教室を出て行ったらしい。

あぁ待ってる間暇だなぁ、と思って教室をぐるり見回していたら元親くんの鞄に可愛らしいぬいぐるみがついているのに気づいた。

「あ、それ、最近人気のぬいぐるみ!」

よくテレビとかで見るぬいぐるみだから可愛いと思っていたら元親くんも知ってるだなんて驚いた。
だから思わず喋ってみれば、これ芸能人が考えたキャラクターなんだよね。と言う話になり次はその芸能人可愛いよね、となり、最終的に昨日見たドラマの話に変わった。まさか元親くんがこんなにわたしと趣味が合うなんて思っていなかったから嬉しくて、日頃友達とは喋れないことをきゃっきゃと喋った。

「次回はどうなるかな」

「告白でもするんじゃねぇか?」

「えぇ?!それは流石に急展開すぎるよ」

と、話が盛り上がった頃だった。心底疲れた様子の元就くんが教室に入ってきた。

「お疲れ様」

よし、そろそろ帰ろう、と鞄を持ち元就くんに声をかけたら彼はわたしと元親くんを見て目を丸くしていた。

「…元就くん?」

「……すまぬ、遅くなった」

それから教室を出るとき、元親くんも何だかわたしのせいで教室に長居させてしまったので一緒に帰るか聞いたのだが彼は笑って遠慮しとく、とおっしゃった。

「あ、おい」

「…え?」

さよなら、と帰るとき、元親くんに呼び止められ振り返ってみれば、彼は鞄についたぬいぐるみをわたしに投げて、やるよ。とおっしゃった。

「え、いいんですか!?」

「あぁ。元々貰い物だし、やる」

「ありがとうございます!」

それから元親くんと別れ、元就くんと二人で歩いて帰っているのだが、どこか元就くんは不機嫌だった。

「このぬいぐるみ知ってますか?」

会話をなごませようと話題を出してみたが、元就くんは冷たく知らぬ。とおっしゃった。

「そ、そうですか」

だよね。元就くんはテレビとかニュース以外は見ない人だもの。雑誌も読まないし知るわけないか。
わたしは早速切り出す話題を間違ってしまった。

「フン、そんなぬいぐるみいらぬだろう」

「えぇ?!な、なんてことを…!」

せっかくもらったのにそんな失礼なことを言うだなんて。大体こんなに可愛いじゃないか。捨てるなんて酷い。
じと、と元就くんを睨めば、彼はそっぽを向いて、何かおっしゃった。

「元就くん…?」

「…そ、そんなもの、我がいつでも買ってやる」

「…え…?!」

そっぽを向いていても頬が赤い彼。まさかこんなことを言ってもらえるだなんて思ってもみなくて嬉しくてにやけてしまう。

「ほんとのほんとにですか?!」

あぁ、と照れくさそうに早足になった元就くんの背中にぎゅ、とくっついた。

「わたし、大きなテディベアがいいです!」

「…っ貴様、遠慮という言葉を知らぬのか…」

それはテディベアのことなのか、それとも道の真ん中で背中にくっついたことなのか、わからなかったけれど、どちらに対しても何も言わずにただ頬を赤く染めた元就くんが可愛くてさらにきつく抱きついた。

「か、帰るぞっ!」

「うん。」

また早足になった元就くんから離れて彼の手を握った。一瞬びく、となった元就くんが面白くてくすくす笑ったら頭をど突かれたが、ま、いいや。

「でもこのぬいぐるみは捨てないですよ」

「…な、何…」

「当たり前でしょ!」









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…長曾我部夢みたいになってしまって、申し訳ありません!長曾我部は昔姫若子と呼ばれていたので流行りとかに敏感かな、と思って出演いただきました。
甘くなっているのか微妙なラインなのですが、蓮さま、リクエスト本当にありがとうございました!




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