君に出会ってからわたしの頭は随分弱くなってしまったみたいだ


告白された。

つい先程のことだった。急に違うクラスの男の子に話があると言われ、付いていって見れば好きだと言われた。それから付き合ってほしいとも言われた。
あたしは断ろうとしたのだ。なんたってあたしは彼のことを知らないし好きじゃあなかったもの。だからごめんなさい、そう言おうとしたらどこからともなくあたしの目の前に元就くんが現れて、"黙れ。貴様なんぞが好きになる前から我はこやつが好きだったのだ。やるわけなかろう"と言ったのだ。それから元就くん思わずぽかんと口を間抜けに開けていたあたしの手を引いてその場を離れた。そんな放課後の話。

「……」

何とも気まずい雰囲気にあたしは今にも押し潰されてしまいそうだった。だってあの後必然的に一緒に帰ることになったものの、あたし達は一言も話していない。
心なしか不機嫌気味な元就くんと二人きり。こんなにも帰路が長く感じたのは今日が初めてだ。

「…元就く、」

「我は本気ぞ」

「、…………え…?」

勇気を振り絞って話しかけてみたのに、元就くんはそんなあたしの話を遮って話を切り出した。本気ってのはきっと先程のことだ。確かにあの言葉が本気であるとは信じられなかったが、こうもはっきり言われてしまうと何と言ったらよいのやら。黙りこくったあたしを見て元就くんは溜め息を吐いた。

「……」

「言っただけだ」

元就くんは苛々していた。そしてわたしもわたし自身に苛々していた。
こんなとき、わたしは何て言えばいいのだろう。ありがとう…ごめんなさい…どれも違う気がして頭がこんがらがる。

「も、元就くん」

「…言っただけだと言っただろう」

「わたしも言うだけだから、気にしないで」

元就くんは鼻を鳴らし、立ち止まった。聞いてくれるようで安心した。
はぁ、と深呼吸をし、口を開いた。どきどきする。どうしよう、緊張する。

「べ、別に嬉しくなんかないんだからっ!(元就くんの気持ち、すごく嬉しいよ)」

何だか変な捨てゼリフを吐いて彼の元から走り去っていく自分。あ、あれ…?全然言いたかったことと違うじゃないか!でも、ちゃんと脳内ではちゃんと素直に言っているのに…!

振り返ってみたら遠くにいる元就くんがぽかんと口を開け、何とも間抜けな顔をして立っている。
あちゃー!やってしまった。どうしよう、でもとりあえずお腹が空いたので帰ってから難しいことは考えることにします。







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結局こうなる




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