怪盗現る?!


長年あたしは元就さんと怪盗をしている。怪盗だなんていつの時代の話だよ。って感じ。その通り、いつの時代なのやら。てか怪盗なんて言ってますが、結局は泥棒なんすよね。あ、今のは元就さんに言っちゃ駄目ですよ。怒られますから!

ちなみに今日は元就さんとあるお金持ちの家に宝石を盗みに行く予定だ。

「おい、我はここから入ってロックを解除するから貴様はここから入って監視カメラの気を引け」

「…あたしが囮になるんですか」

「何だ貴様文句があるのか」

あたし達は長年怪盗をやっていて、世間でも結構騒がれていながらも、お互いの気が合わなくて盗みを失敗することが多い。
一応役割的には頭の良い元就さんが計画を立て、身軽なあたしが侵入して無線で元就さんからの指示に従う、っていう感じなのだが、あたしは毎回嫌な目に合ってるんだよ。
というか、あたしの仕事は大概危ないのだ。今日も囮だとか、そんな役回り。たまにはあたしも、無線を使って優雅に指示とか出してみたいわけよ。

「はい!あたし囮はやりたくないです!」

「うるさい黙れ」

ぶーぶー、あたしの意見を聞いてくれてもいいじゃないか。でも元就さんの計画のお陰で盗みができているし、文句を言える立場でもないんだよねぇ。元就さんって凄いよね流石詭計智将!

「行くぞ」

「……はい」

盗みは速く目立たず綺麗に、がモットーなあたしなのに囮なんて…とふてくされながらも堂々と正面から入った。そのせいで警報とか鳴ってるけどあらかじめ壁に穴を開けていたので大丈夫!簡単に逃げられるよ。けれどさぁ、早速モットーを一つ破ってんだよね。目立ちすぎだろこれ。

「元就さん、ロック解除した?」

「侮るな、もう終わったわ。さっさと戻ってこい」

「うぇ!ならさっさとそれ言ってよ!」

やばいぞ、あたしだけ逃げ遅れてる。そろそろ警察も現れそうだし、急いで穴から出て、待っていた元就さんの車に乗って屋敷から離れた。

「貴様、相変わらずのろまよの」

「えぇ!てか今日のあたしがいる意味あった?!」

「ない」

「なら囮やらすなや!!」

あたし散々目立って、逃げるのも遅かったし、帰り際も焦っていたからさぞ醜かったろう。もう、モットーの意味がない。傷ついたぞ、あたし。

「随分と滑稽であったぞ」

「黙らっしゃい!今心に深い傷ができてるから喋りかけないで」

「…今回の宝石は大きいな…」

「まじで?!うわっ!これすごい!」

「傷はどうしたのだ」

あたし、小さなことにくよくよしない女なの。モットーを破ったから何なのよ。モットーなんてあくまでもだといいな、っていう希望なのよ!大体元就さんと組んだ時点であたしの夢みてたキャッツアイは実現されるわけないのよ!

「あたしもうやだ休暇を下さい」

「貴様がいなければ我はどうしたらいい」

「え…?」

も、もも元就さんんん?!あ、あなた本当に元就さんっ?!元就さんが何か嫌に可愛らしいこと言ったけど、これって…

「もしかして、元就さんにとってあたしは必要な存在…?」

「当たり前だ。でなければ貴様と組んだりせぬ」

「元就さんっ…!!」

な、何だ。元就さんとあたしはちゃんと怪盗やってけそうじゃないか!元就さんったら今までの態度は照れ隠しだったのか、そうなのか

「貴様がいなければ我が危険な目に合うであろう」

「…………、ですよねぇ!」

くっそー!やはりあたしの役回りはそっちなのか!あたしが必要なのはそういう理由があるからなのか!!相変わらず元就さんの人遣いの荒さは涙が出るよ。

「はい!あたし、田舎に帰ります」

くっそー!やってられるかこんな仕事!








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怪盗とか書いてる自分が予想外




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