勉強は教える
毛利先生は良い先生だ!人との接触を拒んでいるし、ものっそい冷たい人だけど良い人です!
「だからあたしは今日も先生に勉強教えてもらいに来ました!」
「帰れ」
「帰らない!」
毛利先生は誤解されてるんですよ。昨日だって嫌々言いながらあたしに数学を教えて下さったし、だから今日は国語でも…ぐふふ。
「今日は国語を教えて下さい!」
「誰が教えると言った!」
「えーでもー」
だってあたし、今回のテストで赤点とったら留年だぜ?まぁ留年したらもう一年毛利先生といれるんだけど、それってやっぱ悲しいし、毛利先生は頭いいし。
「大体我は国語の教師ではあらぬ」
「大丈夫!先生あたしより頭いいから!」
「当たり前だ!」
貴様と一緒にされてたまるか!たら何たら毛利先生がぶつくさ言っていたけど、あたしは諦めない!
先生はこんなこと言いつつも結局はあたしに勉強教えてくれるし、優しい先生なのだ。
確かに授業中の先生は別人のように恐ろしいし、あたしだって何度怒られたことか!てへ
「毛利先生、そういや何か毛利先生のことちょっといいとか言ってる女子生徒って多いんですよ、知ってました?」
「知ってどうする。そこ、漢字間違っているぞ」
「え、どこ…あ、感想か!」
「莫迦者、観想だ」
細かい所にも気を抜かないよね、毛利先生。てか本当に知らないのかい、一部に人気あるの。結構キャーキャー言ってるんだけどなぁ、あたしの隣の女の子とか。
「あ、でもあたしは普通の女子ですよ」
別に毛利先生にキャーキャー言ったりなんてしませんよ!どっちかっていうとあたし長曾我部先生派ですから。言った途端毛利先生の教科書が頭にぶっ飛んできた。恐ろしい…!
「何ですか嫉妬ですか!」
「貴様のどこが普通だ」
「え?…スルー?」
毛利先生は相変わらず冷たいなぁ。てか照れてるとかそんな感じ?そうか、照れてるのかぁ、なんてにたにたしてたあたしの頭に今度はシャーペンが飛んできたよ、恐ろしや!
「毛利先生、これは?」
「…そんなこともわからぬのか」
「うん、だから教えて下さいな」
さらさら流れる毛利先生のペン。字、凄い綺麗なんだよね、毛利先生。てか毛利先生って数学の教師なのに全教科に強いっていうか、頭良いんだよねぇ。
「…あたし、頭悪いのかなぁ」
「何だ今頃気づいたのか」
「何か毛利先生の近くにいるとしみじみ感じるよ」
「…」
何だこいつ気持ち悪いな、とでも言いたいのか毛利先生は怪奇の目をあたしに向けたけど、何だかなぁ、このやるせない気持ち。
「毛利先生が遠いっていうかさ…やっぱ生徒と先生には変わりないんだけど」
いや別に毛利先生の恋人になりたい、とかそんなんじゃないけど(だってあたしはどちらかというと長曾我部先生派だもの)、遠いんだよね。これは、憧れ、なのか?
「ならば貴様も教師になればよい」
「…………はい!?」
「貴様も教師になれ。我に追いつけ」
まぁ追いつくことは無理だろうが、同じ立場には立てるだろう。言って不適に笑った毛利先生。
…でも先生、それって冗談きついよ
「貴様のような馬鹿でもやればできることがあるかもしれぬ」
「…あたしでも…?」
「何だ。我の近くにいたいのであろう」
「……ま、まぁ…」
別にそこまでいたいわけではないけど(何度も言うけどだってあたしは長曾我部先生派だ)何ていうか、尊敬…?
「仕方ない、我が教えてやる」
「もしかして勉強を…?」
「当たり前だ」
目を丸くしたあたしに飛び込んだ毛利先生の微笑。この人の側なら頑張れそう。なんて思ったあたしはやはり相当な馬鹿なんだろう。
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毛利先生とか絶対恐い。
とりあえずヒロインは好意ではなく毛利を慕っていて、毛利も好意ではなく気に入っている感じ。