2.お正月だから仕方ない
今日、朝目が覚めてやけに寒いな、と思ったら雪が降っていた。雪は毎年降っていたけれど、今年は何倍も積もっていて、通りで寒いわけだ、と腕を組んだ。
ちなみにあたしと元就くんは部屋が違います。ま、これは当たり前か。あたしは別に元就くんと同じ部屋で寝ても間違いが起こることなんて有り得ないと思うから別に元就くんと同じ部屋でいいって言ったんだけどね。元就くんに。
でもそう言ったらそれは我のことを男だと見ていぬととってよいのかとか言って元就くんが睨んだからいやそうじゃなくて、元就くんがあたしのこと女と見ていないでしょって返したら彼はそれもそうか、と頷いたんだけどこれって怒るべきことだよね。
「というか貴様は我のこと男として見ていたのか…」
「え、今の声に出してた?」
「………」
なんなんだそのあたしを軽蔑するかのような視線は。いや確かに男として見てたかもしれないけど、それよりも元就くんは友達であって…ってなんだこれ。何か生々しい会話だな、
「それより元就くん、雪ですよ雪」
「だから何だ」
「遊びましょう!」
「断る」
「即答?!」よ、予想はしてたけどさ…しかしあたしは無鉄砲な人間だから元就くんを無理矢理外に連れ出して只今雪と戯れている。
「まぁまぁ元就くんは氷の仮面を被っているような人なんだから雪の冷たさには慣れてるでしょ」
「黙れ。貴様ぐらいだぞ我にそんなことを言える奴は」
「それって誉めてるの」
「莫迦者。命知らずだと言っているのだ」
「あいたっ!!ちょ、元就くん雪玉投げないでっ!」
背中に飛んできた雪玉。元就くんを見れば彼は手の平で雪玉を転がしながら不適な笑みを浮かべあたしを見ている。
「ちょ、本当に止めようよ。元就くんが雪玉投げたらシャレになんないからっ!」
「精々逃げるのだな!」
「い゙だっ!」
つ、強っ!投げるの速っ!避けられるわけがないぞ!い、い゙たいっ!また投げた!ってさっきの石入ってたよね?!ごちんって鳴ったぞ!!
「タイムタイム!石は反則だと思います!」
「黙れそんなもの誰が決めた」
「そ、それは世間一般のルールでありま……あだっ!!」
は、話の途中に…しかも顔に?!こ、このやろう元就くん許さぬぞ!
「くらえっ!」
「…………」
「…………あれ?」
元就くんに当たらない?!ていうか、元就くんに届いてさえいない…。三メートルくらいで落ちたんだけどこれってどういう…
「も、元就くんずるはいけないと思いますー」
「貴様頭悪すぎるだろ」
「頭の問題なのかこれ?!」
「いやお前ら何やってんだよ」
「あ、長曾我部くん!」
と、都合よく現れた長曾我部くん。どうやら元就くんに会いに来たご様子。うんうん、新年だものね。てか長曾我部くんと元就くんって仲悪そうだけどよく一緒にいるよね。
「……長曾我部…」
「いてっ!!」
「…ふん、無様な奴め」
「て、てめぇっ!!」
「…も、元就くん……」
とまぁ始まってしまった元就くんと長曾我部くんの雪合戦。何だろね。うん、二人のは雪合戦とかそんな生ぬるいものじゃなくて、殺し合い…?さ、殺意を感じる…
それからふと隣を見れば置いてあるビニール袋。長曾我部くんが持ってきたのだろう。中には甘酒と柿ピーが入っている。甘酒に柿ピーってのがなんかおやじ臭いけれどもまぁいいか。暇なあたしはその甘酒を片手に柿ピーを食べながら二人の雪合戦を見ることにした。