元就氏と映画に行った話
劇場から出ていく人の波にのって、わたし達も外へ向かっていた。様々なポスターが壁に貼ってあり、わたしの興味をそそる誘い文句がつらつらと書いてある。
「元就くん、次はあれ見ましょう」
指さしたコメディ映画に、彼は間髪入れずに却下といった。
「どれだけ見る気だ」
「だって春って面白そうな映画がたくさん出てくるんだもの」
面白かったでしょ?彼にそう聞けば、彼は60点とだけ言った。
「それは最初に見たのが?」
「最初に見たのは40点」
「じゃあ二番目?」
「最後のだ」
元就くんは溜め息を吐いてするりと人混みを抜けていく。
「そんなこと言う元就くんが40点」
「貴様、殺してやろうか」
元就くんの目がまじだった。のでこれからは元就くんと映画に行くのは止めておこう。
(ちなみに何点満点中だか)