もしもなるなら試験とかあるのかな


最近思うようになったのが、あたしみたいな神様は人と違い、息をしていないことに気が付いた。溜め息、なんかしてみるとわかるんだけど、なんだか体を空気が抜けていくみたいで気持ち悪いっていうか、何ていうか。じゃあ何のために鼻があるんだよ!って感じ。あ、匂いを嗅ぐためかな。





幸せも全部





「…あー…」

あ、おはようございます皆さん。あたし神様なんですけど何だか最近気分がのらない、っていうか。何だろう。病気なのか?

空は青いし雲は白い。日輪は相変わらず神々しいし、なんだか気が滅入ってしまっている。

「……はぁ」

あたしはここに来て、精一杯生きる人達を見てきたけど、あたし自身は精一杯生きる、なんてできるのかな。

「……何だ貴様」

元就氏があたしをじとりと見たが、何だか返事するのも面倒って言うか、一人でいたい、っていうか。わかんないんだけど、

「…おい」

空は青いし鳥は飛んでいる。あたしも飛ぶことはできるけど、ここではあたしは異様な存在。「……おいっ!」

元就氏ががくがくとあたしの肩を揺さぶる。が、何だか何を言えばいいのかわからなくて黙った。

「……どうしたのだ」

「………うん…」

「調子が悪いのか」

「うーん?」

外に出たくて、でも出たくなくて、ここにいたくて、でも帰りたくて。混乱する頭。どうしたらあたしは楽になれる?

「…こちらを見よ!」

元就氏の目も覚めるような声に、背筋がぞく、とした。やっと見た元就氏は恐くて、でも今は。

「離して」

「、!」

ごめんね元就氏。わかってるんだけどあたし今は何も感じられない。

「生きているって確かめたいの」

ちゃんと息をして、その度に肺は上下し、心臓は全身に血液を送る。そんな人として当たり前なことを感じたいの!

「…元就氏、知ってた?」

「………」

「神様はね、食事をする必要がない。だから用も足さない。息をしないから心臓も動かない。」

「……、」

「あたしは元就氏と変わらないのに、元就氏とはまったく違う。あたしと元就氏は違うの」

空は青い。深くて吸い込まれそうな青。その向こうに母様も父様もいる。恋しいとかそんなのじゃないのに、なぜか寂しくて。

「あたしは神様だから、元就氏のようにまだまだ死ぬことはない。」

「………」

「でもそれって嫌なんだあたし」

何となく前から感じていた孤立感。あたしは人じゃないから、人の気持ちなんてわからないし、あたしの気持ちをわかる人もいない。それは寂しいから必死に元就氏の友達になろうとして。でも結局、あたしは

「あたしは元就氏とは違う」

元就氏は少し目を見開いてじ、とあたしを見つめている。

「あたし、人になりたい……っ!」





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