「く…っ、何でこんな日に限って先生は課題出すんや…!」
「お前っ、それをみなあかん俺の身にもなれやボケェ!」
「くそぉぉお化学なんてもんなくなればええんやぁああ!」
女の子たちから友チョコもらってテンションMAXだったのに、たまたま教室にきたらしい理科の先生が「お前今日課題だしたるからな覚えとけよ」とか言われた。そんなんスルーしたるし!今日のうちは無敵なんやで!とか考えてたら「見張りに一氏つけといたる」とかほざきやがった!あの教師ホンマばるす!
「一氏先生教え…って何音楽聴いてん!?」
「俺は見張り役であって教えにきたんとはちゃうんやで?」
「く…っ!」
いろんなイライラが積み重なって更にイライラ。一氏のバッグと一緒においてある綺麗なラッピングがされたチョコがたくさん入っている紙袋を見てまたイライラ。
「せや、一氏何人からチョコもろたん?」
「…いくつやろな?」
「毎年ぎょうさんもらっとるみたいやし、羨ましいわー。好きな子からはもらえたん?」
前ポロリと一氏がこぼしたのを思い出して聞く。コイツに好きな人!?とそのときは笑ってたけれど、内心ではぼろ泣きだった。それでも諦めてない私はしつこいのか一途なのか。
「好きな子からはもらっとらん」
「さよかー。…あ、もしかしたら校門とかで待っとるかもしれへんで?うちんことはほっといてええから先帰り!」
「そんなやつおらんやろ」
「分からへんで?女の子っちゅーんは好きな子相手ならどれだけでも待つんやから!」
「…お前でもか?」
「んー、…せやな。うちなら待つで?ずっと」
もし一氏と付き合ったら、毎日でも部活終わるまで待つんやろなーなんて想像してやめた。私が一氏と付き合うなんてあり得ない。こいつには好きな子がいるんだから。私が邪魔しちゃいけない。
「じゃあ、」
「?」
「ずっと、俺んことまっとってくれへんか?」
「…へ、」
急に椅子から立ち上がって言うもんだから何事かと思った。ギャグかと思ったけど目は本気っぽい。
え、これはどういうこと?
「待つんは、ええけど…?」
「…お前意味わかっとらんやろ」
「さっぱりです」
「はぁ…」
「他の男やのうて俺のためだけに、ずっとまっとってくれん?お前なら、やなくお前がええんや」
「!…っ、わかり、にくいわ!」
つまりそれは、私だからいいと言われていることと同じで。
「お前は分かりやすかったわ」
「なんやと!?」
「…俺んこと好きやってよう伝わってきたわ」
「〜〜!?…やけど、一氏好きな子いるんちゃうかったん?」
「は?ドアホ」
「そんなんお前に決まっとる」
聞いた私が馬鹿でした
title×家出