「ん?あれ、仁王の席だっけ」

教室に入って、やたらと目につく机がひとつ。明らかにおかしい量のプレゼントが乗っているのだ。しかも、可愛らしいラッピングを施されたものばかり。

「え、知らないの…!?」
「…あぁ、悪い。」
「まあ興味ないか。今日は仁王君の誕生日なの!」

なるほど。それであんなにたくさん。可愛らしい子達からプレゼント貰えるなんて羨ましい限りだな。「勿論私のもあの中にあるんだ!」そう無邪気にいう彼女はまさに恋する乙女。純粋に、ただ好きなんだろう。

「遅くねぇか?仁王。」
「うん…多分女子に捕まってるんだと思う。」
「みんな必死だな…」
「年に一度の一大イベントだから気合いもはいるだろうし…」
「大丈夫、喜んでくれるだろ。」
「だといいな。」

と、遠くからの黄色い声が聞こえる。これは、間違いなく仁王だ。だんだんと近づく声に思わず顔をしかめる。好きなのはわかるが限度っていうもんがあるだろ、五月蝿すぎだ。近くにいた男子に「あれはねーよなぁ…」と同意を求められ素直に頷く。騒がれる方は気持ちいいかもしれないけど、こちらとしたら迷惑きわまりない。

「っだーもう!仁王!早くあるけよぃ!」
「そうしたいのは山々なんじゃがな…じゃあブンちゃんがこいつらに道開けさせんしゃい。」
「やだし、めんどくせー。」
「なら諦めるぜよ。」
「ちぇっ」
「おーい可愛い女の子!道開けてくれねぇかな?」

騒がれる方も騒がれる方で迷惑らしい。ので少し助けてやることにした。何故か私も女の子達に好かれているようなので、多分一声掛ければ少しは道を開けてくれるはず。案の定半分ほどの女の子が左右に避けてくれたので、その子達にお礼を言いつつ仁王と丸井に声を掛ける。

「大丈夫か?人気なのも大変だな。」
「助かったぜよ。」
「本当命拾いした気分だぜぃ…ありがとな!」
「ははっ、よかったよ。仁王、机にもたくさんあったけど。」

手に抱えきれないほど持っているプレゼントを見ながら現状を教えてやる。手に持たれた紙袋にもいっぱいいっぱいに入っていた。何て数…。若干顔をひきつらせながら仁王を見上げれば、彼も同じように歪めていた。多すぎるってのも問題だな。

「で?おまんは用意してくれたんか?」
「いや、今日の朝知った。」
「ぶ…っ!」
「…ブンちゃん、後で覚えときんしゃい。」
「わ、悪かった!」
「悪いな、何にもなくて。」

すると一瞬考えるような素振りを見せ、すぐにいつもの企むような笑みを浮かべる。

「じゃあ抱きつきんしゃい。プレゼントはそれでよか。」
「え?そんなんでいいのか?」
「勿論ナリ。」
「仁王、何企んでんだよぃ…」
「なーんも?」
「…じゃあ、失礼します。」

腕を広げてにこにこするもんだから、人目が気になったけどしかたがない。ゆっくり仁王の背中に腕を回した。すると、彼は首もとに顔を埋め、首筋に髪があたってくすぐったい。そちらに気を取られていると、頬に何かが触れた。そして上がる悲鳴。目を見開いて前を見ていると、至近距離に現れた仁王の顔。数秒間見つめあったと思ったら、耳元で囁かれて思わず逃げたくなった。仁王の顔見たら、絶対沸騰する。


「…好いとうよ。」


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