「ほら、早く上がれ」
「だ、だって、寒い…」
「はぁ…見たいといったのはなまえだろう」
「う…はい…」

ぐいっと手を引っ張られて引き上げられると、遮るものがなくなって視界が広がった。ひんやりした瓦もあまり気にならない。
今日は、柳の家に「獅子座流星群」を見るためにお邪魔した。前の流星群は一人家で頑張っていたものの、見る前に寝てしまった。

「ね、今何時?」
「12時26分37秒だ」
「そこまで聞いてないってば。もうすぐかなぁ…」
「まぁ夜中から夜明けまでと書かれていたからな。多分あと10分ほどだろう」
「そっか…」
「大丈夫か?寒かったら言えよ」
「え?じゃあ寒い」
「…だからお前は…、」

真夜中の温度は一桁で、吐く息はしろい。何重にも着ているけれどやはり寒いものは寒いのだ。柳のため息もやっぱりしろい。と、柳が立ち上がった。ボーッとその様子を見ていれば、不意に背中に温もりが。目の前には見慣れた筋肉質な腕。

「や、柳…?」
「これであたたかいだろう?」
「いやあったかいけどさ、なんかこう…恥ずかしいというか…」
「…もっと熱くしてやっても、いいが?」
「下ネタ!ダメ!絶対!」
「ふっ、冗談だ」
「目が本気ですよ柳さん」

軽口を続けていると、視界の端にキラリと光るものが流れた。

「あ!今!」
「あぁ、見たぞ」
「次いつかな…」
「恐らく今のは開始の合図のようなものだ。数分でくるだろう」
「本当!?何お願いしよう…」
「俺ならば、……やっぱり秘密にしておこうか」
「えー?なにそれ気になる!」

なまえがそういっているとき、またキラリと流れた。彼女は気付いてないようだが、いいか。


ずっとなまえが隣にいてくれたらそれ以上は望まない。


流れる夜空


×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -