四天宝寺 短編 | ナノ

9月11日。
今日は一氏ユウジ先輩の誕生日です。


いつも小春ちゃんにべったりで、ホモじゃないかと噂のたつユウジ先輩(小春ちゃんがオカマという噂はないのは、周囲が彼の乙女っぷりを十分承知しているからだと思う)。
小春ちゃんにべったりでも、ホモだと噂がたっても、まぁ割りとイケメンなユウジ先輩は女子の間で人気がそこそこ無いわけではない。回りくどい言い方だが、本当にそんなものなのだ。だって、蔵先輩や謙也くんの方が凄いから(謙也くんは自覚してないけど)。あと、ひかるんとちーちゃん先輩もそこそこ。その4人に比べたら、ユウジ先輩はまぁ、なきにしもあらず…くらいな。

今日は、そんなユウジ先輩の誕生日なのですが、人気がなきにしもあらずな先輩に届くプレゼントは数えられる程度…らしい。私だって、誕生日に友達に貰っても、そんな数にはならないのに。蔵先輩達のはそれよりあり得ない数だからね…。

で、何ヶ月か前に誕生日を迎えた人達に私が送ったプレゼントは、金ちゃんにたこ焼き、蔵先輩に包帯、謙也くんにヒヨコの形の消しゴム、ひかるんには某歌うアンドロイドのマスコット。
そんな感じで、何となく欲しそうなものとか、その人らしいものをあげてきたけど…ユウジ先輩は何がいいんでしょう?ネタに使えそうなものなんて、私には分からないし…。ユウジ先輩から連想されるものがお笑いと小春ちゃんしかないんですよね。あの人達は2人でワンセットみたいな気がする…。
小春ちゃんは試合中以外はそうでも無さそうだけど…。

…まぁ、あげるんだ。文句は言われまい。そんなんで、何となく見繕ってみました。


『ユウジ先輩、誕生日おめでとうございます。プレゼントです。』

「お、おおきに。って…何や、これ。」

『何って、ウサギのぬいぐるみキーホルダーですよ。可愛いですよね、そのウサギ。』

そう、ウサギのぬいぐるみキーホルダー。
ちなみに、私はそれのクマを持っていたりする。別にお揃いってわけじゃないけど。

「そういう意味とちゃう。何でウサギかって聞いとるんや。」

『だって、ユウジ先輩って、ウサギそっくりだと思いません?知ってますか?ウサギって、寂しくなると死んじゃうんですよ。』

「はぁ?」

『ユウジ先輩、小春ちゃんがいないと寂しくて死んじゃいそうじゃないですか。』

「で、これか?」

『ホントは、うさ耳とかにしようかとも思ったんですが。ユウジ先輩なら持ってそうでしたし。キーホルダーの方が妥当かと思いまして。…あ、耳の方が良かったですか?』

「いや、ちゃうくて。確かに持ってるけどな、うさ耳。」

やっぱり持ってるんですね。試合の時使うんでしょうか?

『前の謙也くんの誕生日、ヒヨコの形の消しゴムあげたんですよ。それは謙也くんの髪型がヒヨコっぽいからなんですけど…。ユウジ先輩を動物に例えたら、ウサギだなぁって思ったんですよ。』

「ウサギか…。ほな、お前が飼い主やな。」

『…はい?小春ちゃんが飼い主じゃないんですか?』

「小春は飼い主やない。小春は…お嫁さんや!!」

『…ユウジ先輩、何度も言ってますが、小春ちゃんは男ですよ。』

「…知っとるわ、ドアホ。冷静なツッコミは痛いからやめぇ言うとるやないか。」

『それはすみません。』

だって本当のことじゃないですか…。

「名前が飼い主やないと、俺だけで飼ってくれへんやないか。」

『と、いいますと?』

「小春が飼い主やと〜、白石も千歳も謙也も財前も飼う言うやろ?かまってもらえへんやん。せやけど、お前が飼ってくれるのは、俺だけやろ?」

『…何で断定されてるんでしょう?みなさんが動物だったら…私は飼いますよ。』

動物好きですし、あの人達が動物…なんだか、楽しそうじゃないですか。いろんな意味で。

「俺の洞察力を舐めたらアカンで!!お前、気付かれてへんと思うとるかもしれんけどなぁ、他の奴等と俺じゃ態度がちゃうやろ。俺にはバレバレやで。」

『なっ!?な、何てことを言うんですか!!ユウジ先輩!!』

「お前は、俺だけ、飼ってくれるよな?」

『…も、もう、知りません!!』

「お前に構ってもらえへんと、寂しくて死んでしまうで〜。」

ユウジ先輩…私が間違っていました。ええ、私がいけないんですよ。

『…前言撤回です。ユウジ先輩はウサギなんかじゃないですね。私のくまと交換しましょうか。』

「何や、お揃いなんか?ホンマにかわええやっちゃなぁ。」

だから、これ以上からかうのは勘弁してください!!


ウサギ先輩の誕生日
(そのウサギは、ウサギの皮を被った狼でした。)

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