立海大附属 短編 | ナノ

「昨日、××君が、お亡くなりになりました。」

臨時の全校集会。
涙を堪えている有名な彼等。

「××君は、テニスが大好きで、幼い頃からテニスをし、本校でも…。」

校長先生、名前が良く聞き取れないよ。
テニス部の人はみんなここにいるよ?
あ、平の人かな。じゃあ、私にはわかんないや。

「本校のテニス部を3連覇に導いたのは、彼の力があってこそでした。もっと、テニスを続けていたかったでしょう。もっと、大きな舞台に立ちたかったでしょう。良い仲間に出会えたことを、彼はとても喜んでいたそうです。」

…どうしてそんな人が亡くなってしまったの。
みんなに愛されて、将来を期待されていたような人が。
その人は誰?名前を教えてよ。

「先日、下校途中に倒れ意識を失い、一時は一命を取り止めたかのように思われたのですが、――」

あなたが亡くなることなんてないのに。いくらだって私が死ぬのに。代わりに、死ぬのに。

「――、彼の冥福を心から祈りたいと――」

だから、還ってきてよ。あなたのような人が死ぬことなんてない。
みんな泣いているよ?私とは違う。私みたいな無能なのが生きているのに、こんなのおかしいよ。

「××ぁー!!」

真田くんが何か叫んでいるよ?あなたの名前?聞こえないよ。

丸井くんと切原くんが大泣きしているよ?いつもあんなに元気なのに。あなたのせいでしょ?

仁王くんが一人で体育館を出ていく。いつものことだけど、今日は違うと思うんだ。

柳くんも、柳生くんも、桑原くんも…、テニス部のみんなが泣いているよ。

あなたは誰?みんなをこんなにも悲しませている。
私とは違う。あなたは死ぬべきじゃないんだよ、

「××くん…。」

誰かが君の名前を呼んでいるよ?私には、聞こえないけど。

「…還ってきてよ、幸村くん。」


聞こえない名前の行方
(それは、信じられないせいなのか。)

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