立海大附属 短編 | ナノ

束縛はしない。

そう決めて赤也と付き合っていた。
明るくて誰とでも仲の良い赤也には友達がいっぱいいた。人間関係を大切にする人だった。それは男女問わず。

だから、赤也を束縛することは、それで赤也の行動を制限するようなことは、絶対にしたくなかった。

でも…、それでも。
あの子だけはどうしてもダメだった。

あの子は赤也の元カノで、本当に1ヶ月前まで二人は付き合ってたから。
別れた理由は知らない。でも、あの子が赤也の事をまだ好きなのは良く分かった。


私が赤也と付き合い始めてから、あの子が赤也と別れてって言ってきた。
でも、私だって赤也が好きだったから、絶対に別れなかった。
それに、赤也は私があの子にいろいろ言われていることを知らないから。


そんなことから始まった他愛ないケンカ。
何で私が怒ってるかすら分からない赤也は、何度も謝ってきたけど、私はそれすらシカトして。
短気な赤也がそれを許すはずがなく、そのまま大喧嘩。

『嫌い、か…。』

悪いのは私。分かってる。分かってるけど…。
赤也に言われた言葉は胸に深く突き刺さった。私も酷いことは言った。でも、嘘でも嫌いなんて言えなかった。
好きだから、大好きだから。
でも、赤也は平気でそう言った。喧嘩の時は本音が出るっていう。所詮、私はその程度だったんだ。

だから、じゃあ別れようって言った。
別れたくなんてないけど、売り言葉に買い言葉ってやつだ。
本当は大好きだから、ずっとずっと大好きだったから、別れたくない。一緒にいたい。


だけど。

『大好きでした。』

過去にしようと思う。それが、赤也の本心でなかったとしても、私が耐えられそうにないから。

追い掛けてきて、「何で過去形なんだ?」なんて、聞いてくれるマンガみたいなこと、少しは期待してたけど、そんな
ことが起こるはずがない。

だって、これはマンガじゃない。
私達は現実(リアル)を生きてるから。


八つ当たりと、嘘と、本音と。
(本当は追い掛けてきて欲しかった。嫌いなんかじゃないって言って欲しかった。)

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