今日、私の大好きな先輩達が、この学校を卒業します。
2年前の春。
まだ学校に入学したばかりの私は、入る部活を決めようとフラフラと歩いていて、テニスコートにたどり着いた。
そこで出会ったのが先輩達。
私は食い入るようにテニスコートを見つめた。もっと近くで見ていたくて、テニスのマネージャーになった。
大変なこともいっぱい、そりゃもう凄いいっぱいあったけど…。でも、先輩達の姿を見てると、やっぱり、入ってよかったなって。
今日は、そんな先輩達の卒業式です。
『跡部先輩!!忍足先輩!!岳人先輩!!ジロー先輩!!宍戸先輩!!滝先輩!!』
「よう、名前。」
「どないしたん?」
『ご卒業、おめでとうございます。』
「ありがとよ。」
「それ言うだけにそんなに走ってこなくたって…。」
「オレ達、名前ちゃんが来るまで、待ってたC〜。」
『…もう、先輩達の後ろ姿、追いかけられなく、なります、から。』
「名前ちゃん…。」
『先輩達は、卒業を待っては、くれません、から…。』
「泣くんじゃねぇよ、名前。」
「名前ちゃんに涙は似合わへんで。」
『だって、あたしが高校に行っても、先輩とテニス、出来ないじゃないですか…。』
この卒業を期に、跡部先輩はイギリスに、忍足先輩は大阪に帰るそうです。
「俺様がいなくなったって、お前にはまだやることがあるだろ。」
あれを見ろ。
そう跡部先輩が私の後ろを指す。
『鳳くん、日吉くん、樺地くん…。』
そこには、少し離れて先輩達を見ている、同い年の3人。…鳳くん、すごい泣いてるよ。
「お前にはもう1年、ここを支えてもらわなきゃならねーんだ。泣いてる場合じゃねぇだろ。」
『…はい!!』
「じじどざーん!!」
「泣くなよ、長太郎。」
…私に出来るかな?
「それにもう会えないわけじゃないC〜。」
「姫さんに会いに帰ってくるわ。」
「俺様の屋敷に招待してやるよ。」
…ううん、やらなきゃね。
『頑張ります!だから、見ててくださいね。先輩達より上まで、全国優勝してみせますから!』
「頼もしいマネージャーだね。…それじゃあ、そろそろ俺達は行くよ。」
「応援しとるから。また会おうな。」
「じゃあな、名前。」
「またね〜!!」
「元気でな。」
一人ずつ私の頭を撫でて、校門を出ていく先輩達。最後に残ったのは、跡部先輩。
「もう会えないわけじゃねぇ。」
『分かってます!!…先輩達のお陰で、今の私はいます。必ず、先輩達を超えてみせますから。』
「ほぉ〜。まぁ、楽しみにしといてやる。じゃあな、名前。」
跡部先輩も、他の先輩達と同じ様に、私の頭を撫でて、校門を出ていった。
「「「『今まで、ありがとうございました。』」」」
みんなの頬を一粒の光が流れた。
さよならじゃない、またいつか笑顔で。
(…下克上だ。)
(ウスッ。)
(先輩達には負けられないね。)
(私達も卒業を惜しんで貰えるような先輩にならないとね。)