氷帝学園 短編 | ナノ

将来の夢、したいこと、行きたい学校…。
考えなさい、選びなさいと、大人たちは言う。

「自分達のときはできなかったんだ。恵まれてるんだから。」

だからどうしたというんだろう…。
私達は、私達の時代を生きてるんだ。

「姉さん?」

『…若。』

ねぇ、弟。君はどう思う?この現状を。

「…俺も、そう思ってましたよ。そうは言っても、そんなの叶う人なんて、一握りなんですから。」

『そうよね…。サラリーマンになるのが夢な人なんていなかったでしょうに。』

でも、仕事をしてる人の半分がサラリーマンみたいなものじゃない。

『若には叶わなかったけど、何ごともなるようになってきたわ。今さら何も夢なんて…。』

「それの、どこがいけないんでしょうね。」

やりたいことなんて、いっぱいあった。
歌手になりたかった、アニメの勉強をしたかった、声優とか、作家とか、女優とか、やってみたかった…。

でも大人達は言う。

「そんなことして、どうするんだ。」

でも、それでも、「夢を持て」、と。
ついさっき、人の夢をバカにして、やめろと言ったのに…。

じゃあ、夢って何なの…。
医者になりたいと、警官になりたいと、弁護士になりたいと、そういえば満足するの…??

『だったら、安定した収入、安定した休み、安定した生活…。それを望んだら、1番良いのは公務員。でも、夢なんかじゃない。』

「公務員…。兄弟は似るものですね、俺も同じですよ。」

『テニスや道場はいいの?』

「続けていても、それが仕事になるはずないですから。」

『…兄弟は似るものね。』

就職できないから、大学に行くの。でも、やりたいことも夢もないから、入れればどこでもいいの。
大人達はそんなことダメだと言うけれど、夢を持てと言うけれど。
やりたいことをやるのはダメだと言うし、結局何もできやしない。

「俺は、姉さんと一緒で良かったですよ。」

『私も、若と一緒で良かったわ…。』

でも、私達には夢も希望も未来もない。大人達は許しはしない。
この先、どうやって、どうしたらいいのかしらね…。


私たちに未来はない
(こんな世の中なら、何をしても一緒じゃない。)

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