9月12日。
今日は向日岳人くんの誕生日です。
「名前、早くいこうぜ!!」
『待ってよ、岳人くん。そんなに走らなくても、バンジージャンプは逃げないよ。』
今日は岳人くんと遊園地に来ました。誕生日の日が日曜日で、部活もないって跡部くんが言ってたから、誕生日、どこに行きたい?って聞いたら、バンジージャンプのあるところ、って言うので。
「名前〜、お前もやるだろ!!」
『もちろん!!』
私も高いところとか、絶叫マシン大好きなので、バンジーも飛びます。よく、キャラに合わないって言われるけど。
『ここのはね、ビルの七階に相当する高さなんだって!!』
「そりゃすげーな!!早くやりてー!!」
岳人くんはホントに跳ぶのが好きなんだな、っと思います。今、こうしてる間にもひょんひょん跳ねてるし。自慢の赤い髪をワサワサさせながら。(絡まないなんて羨ましい…。)よく疲れないなぁっといつも思います。
『岳人くん、疲れない…?』
「なにがだよ。」
『ずっと跳ねながら喋ってるから…。』
舌、噛まない…?私が聞けば、岳人くんはちょっと不思議そうな顔をした。
「だって、俺が普通に歩いてたら、俺じゃないじゃん。」
『…ん、ん〜、確かに…。』
納得できちゃうところが、何だかおかしいけど…。
「跳んでないと…なぁ?」
『な、なぁって言われても…。岳人くんって、高いところが好きなわけじゃないんでしょ?前、言ってたよね?』
「好きだけど、跳んでる理由はそれじゃないってことだぜ!!」
『ん?そうなんだ。』
バンジーの列はそんなに混んでなくて(まぁそんなに好きでやる人いないだろうし。)、あっという間に順番が来た。
『た、高いね…。』
「だな〜。先行くぜ!!」
『うん。』
バンジージャンプやってるときの岳人くんの顔が好き。もちろんテニスやってる時も好きだけど、試合の時は楽しむより勝たなきゃって顔してるから…。
「もっと跳んでミソ!!」
『…え、えぇ〜…。』
でも、やっぱり言うんだね…、それ。岳人くんのことは好きなんだけど、そりゃもう、大好きなんだけど…。この台詞だけは何とかならないかな…。
岳人くんが終わって、次は私の番。下を覗くと、岳人くんが待っていてくれてた。
…あぁ、そんなにミソミソ言わなくてもいいのに。みんな、岳人くんのこと見てるよ…、恥ずかしくないのかな。
そんな彼を見ながら飛び降りた。ジェットコースターとは違う、落ちていく感覚。この感じが好きで仕方ない。…私いつか、飛び降り自殺とかしないよね?
下に降りた私を迎えてくれたのは、もちろん岳人くん。
「さすがだな、名前!」
『うん。楽しかったね、岳人くん。』
「おぉ!」
楽しそうな彼を見てると、私も楽しくなる。
「…なぁ、名前。さっきの続きなんだけどさ。」
『さっきの?』
「俺が何で跳んでるか、って話。」
『あぁ、うん。どうしたの?』
「…名前、身長いくつだ?」
『え、私?15…7cmくらいかな?』
突然私の身長なんか聞いてどうしたんだろ。
「クソクソ!!まだダメだ!!」
『え??』
ダメ…?
「…オレ、チビだからさ…、名前と身長変わんねぇだろ?跳んでたら、背ぇ高くなるかなってよ…。」
『岳人くん…。そんなことに気にしなくたって…。』
「だってよ、背ぇ高い方がいいと思わねぇ?」
確かに、並んだとき男の子が10cm…くらいかな?高い方がよく見える、って聞いたことはあるけど…。
でも、そんなことより、私は…。
『私は、そのままの岳人くんが好きだよ?背が低くて、跳んでて、テニスとバンジージャンプが大好きで、意外に英語とか得意で、仲間想いな岳人くんが好きなんだ。だから、無理なんかしなくたっていいんだよ?』
「名前…。」
『岳人くん、私と出会ってくれて、好きになってくれて、ありがとう。それから、』
産まれてきてくれて、ありがとう。
(意外に英語とか得意って…誉めてんのか?貶してんのか?)
(え!?誉めてるつもりで言ったんだけど…。)