ピッピッ
笛の音が響くグラウンド。
長い髪を風になびかせ、今日も彼はコーチとして指導にあたっている。
「佐久間さん」
声をかけようか迷ったけれど、せっかく来たんだもの、声をかけた。
振り返った佐久間さんは相変わらず綺麗で、思わず息を飲む。
「夕香ちゃん?」
休憩だ。
そう言って佐久間さんは私の方へ近づいてくる。
「久しぶりだな。どうしたんだ?」
「お兄ちゃんに佐久間さんを呼ぶように言われたの」
フィフスセクターは解散した。
だが、解散しただけで何もまだ片付いてはいない。
レジスタンスの一員として、この革命に関わってきた佐久間さんに話があるみたいだった。
「そうか、分かった。わざわざ有難う」
そういってふわりと笑う佐久間さんに、胸がきゅんと締め付けられる。
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