俺は、二人が幸せならそれで良い。
「剣城ー!」
パタパタと走ってくるあいつに、俺は歩みを止めて振り返る。
「今日も優一さんのとこ行く?」
「あぁ」
「俺も行くから一緒に行こうよ!」
ニッと笑う天馬に、高鳴る胸。
だけどこれは、けして表に出してはならない想いだ。
「好きにすれば良い」
「うんっ!剣城はやっぱり優しいよね!」
何も知らないお前は、またそうやって俺の心を乱す。
俺は、抑えていられるのだろうか。
「兄さん」
「優一さん!」
「京介。天馬くんも……いつも有難う」
優しく微笑む、俺の大切な兄さん。
天馬は兄さんに近づいて、会話を始める。
俺はそんな二人を、壁に寄り掛かり見つめて。
「今日も部活だったのか?」
「はい!みんな頑張ってますよ!ね、剣城!」
「あぁ、そうだな」
兄さんと話している天馬は、とても楽しそうだと思う。
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