ヤンデレシリアス
※読後感のあまり宜しくない小話
「君が俺を撃てなくても、俺は君を撃てる」
一言一句、相手へ言い聞かせるように紡ぎ、アメリカは手にした銃をゆっくりと構えた。
瞼が細く眇められるその眼差しに躊躇いの色は無い。
そのまま目の前の相手を見据え──
カチリ
──引き金を、引いた。
「……」
「……っ、どうして……!どうして君はそうなんだ!!」
死の宣告をし、銃を構え、引き金を引く瞬間すら只の一度も揺らぐ事の無かった翠を湛える相手を前に、その場に膝を着いたのはアメリカの方だった。
銃口の先からは、何も放たれる事は無かった。
弾丸は全て抜いていた。しかし相手がそれを知る事は無い。
それなのに僅かの動揺も見せない相手に、アメリカは恐怖すら覚える。
「おまえを愛してるからだ、アメリカ」
闇の中、そっと浮かび上がる水面のように静かに響く声は、慈愛に満ちたその面差しに反して無機質にただアメリカをさいなむ。
相手にその気はなくても、少なくともアメリカはそう感じていた。
「要らない……要らないんだよッそんなものはッッ!!……俺は……ッ」
嗚呼それでも、彼への想いを断ち切れない俺は実に愚かだ。
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↓後書き&補足
内容を補足すると、米の事を愛し過ぎて狂愛染みた想いを隠す事なく注ぎ続ける英と、
そんな英をコイツ早くなんとかしないとヤバい早く早くと思いつつ、一度抱いた恋心をどうしても消し去る事が出来なくて苦悩する米。
ハッピーエンドフラグが見当たらない!
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