君がいる明日 - main
学生×ストリートミュージシャン


「ん……?」

 サークル活動で遅くなった大学の帰り道。電車から降りて帰途に就こうとした俺の脚を、何処からか聴こえて来た歌声とギターの音が止めた。
 こうして道端で歌ったり演奏してる人は偶に見掛けるし、別段珍しくもない筈なのに。

(あ…終わったのかな……)

 低く落ち着いた声が、ギターの音と共に綺麗に伸びて無音になる。
 けれど惜しむ余韻をもたらす静寂は長くは続かなくて。
 拍手の喝采と女の子の黄色い声につられるようにフラフラと歩みを寄せた。

『Thank you.』

 歌っていたのは、俺の髪より落ち着いた色の金髪が所々跳ねた、男にしては華奢な男性だった。
 おひねりや讃辞に『Thank you.』と短く返す声が、マイクを通して宵の闇に溶ける。
 顔はよく見えなかったけど、きっと綺麗な人なんじゃないかと思った。

(次の曲が始まる……)

 ギターを抱え直した彼が細い指で器用に弦を掻き鳴らす。次は軽快な音色が響く。

 もっと彼を良く見たくて、まるでファンの女の子みたいに傍まで寄ったら途中で目が合った。勝ち気そうな、思っていたよりも鋭い眼が少し微笑って口角が上がる。
 隣の女の子達から喜色に満ちた小さな歓声が聞こえた。
 違う今のは俺にだよ、そんな気持ちがムカムカと沸き起こるのを堪えて、暫し聴き入る。

 気付けばもう一曲も終わって、俺はその場に残った最後の一人となっていた。
 片付けをしながらチラチラと此方を気にしていた彼の瞳が、真っ直ぐに俺を捉える。

「おい……立ったまま寝てんのか?」

 その声で漸く意識がはっきりした俺は数回瞬きをして彼の姿を間近から直視した。
 覗き込まれて思わず飛び退く。
 歌っている時は綺麗だと思った彼の顔は、こうして見ると童顔の部類に入り、どちらかと云うと可愛かった。

「え……、ああ! ごめんよ」

「別に謝る事はねぇだろ。……聴いてくれて、ありがとな」

 さっきみたいに僅かに表情を動かしただけの笑みと、変わらないトーンの落ち着いた声。けど俺には何だか極上の笑みのように思えて。


※以下、台詞のみ※


「ねえ……君、一晩いくら?」
「…………は?ちょっ、お前何言っ……」
「だってお金が無いからそうやって歌って稼いでるんだろう?」
「ちっげぇよ!夢があんだよ!夢が!」
「俺が奢ってあげるから遊ぼうよ!」
「聞けよ人の話!!」
「ダメなのかい?」
「……………何して遊ぶんだよ?」
「なんだ、やっぱりお金無いんじゃないか。DDDD」
「帰る!」
「待って待って!ごめん、冗談だよ。う〜ん、カラオケとか?あ、俺の家、すぐ近くだからコンビニで何か買って行くのでも良いね!そしてまた君の歌とギターを聴かせてくれよ」
「何か……?それは酒と肴もお前の奢りって事か?」
「(食い付いた!)勿論さ!俺の家にはゲームもあるんだぞ!!」
「……言っとくが、俺の一晩は高ぇぞ」
「悪い顔だなあもう! 望む所さ、さあ! そうと決まったら早く行こうよ!」
「っあ…コラ!テメェ!大事な商売道具振り回してんじゃねぇ!」
「貧弱な君に代わって俺が持ってあげるんだぞ!」
「だから……てめっ!もっと大事に扱いやがれっ!このばかぁ!」


・そうして大量の酒とつまみを買って米の家に行く米英
・途中で一缶空けて出来上がってる英とそんな英を見て訳もなく楽しい米
・翌朝目を醒まして二日酔いに唸る英
・外に出ると偶然にも隣の部屋が昨日引っ越して来たばかりの自分の部屋だったとかそれなんて運命?
・節約の為に家賃折半して一緒に住む事にした米英
「これって同棲って言うんだよね?」
「同居だばか!」
・親からの仕送りでキャンパスライフを謳歌する米と、故郷から一人上京して夢を叶える為にバイトに明け暮れながら夜はストリートライブやる英
・価値観の違いから喧嘩して仲直りしてを繰り返しつつ上手くやってる米英
「そんなに無理して……、倒れたらどうするんだい!?」
「うるせぇ!お前みたいにお気楽なヤツには分かんねぇよ!」
・有名音楽関連会社の仏に見初められ…じゃなくてスカウトされる英




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…と、こんな感じの妄想をしました。

付き合う前に勢いで身体の関係持ってしまったりとか、どっちが告白するんだろうとか、どんなパターンで妄想しても愉しい。
しかし音楽関連には滅法弱いので、ネタを出したは良いものの私には書けない罠…!
上記の小話の時点で単語の使い方が間違っていたら、申し訳ないですorz




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