君がいる明日 - main
ある事後の朝


・初夜後か二回目後ぐらい
・や(らしくなければ)お(ちもな)い




 安価な薄地のカーテンを透かして部屋を照らす、明るい太陽の光。

「……、ふー……っ」

 指に挟んだ煙草を唇から遠ざけ、吐き出した紫煙が空気を白く濁す。

「……ん〜〜……」

 唸るような声に視線を落とした眼差しの先で、シーツから覗いた金糸の頭がもぞもぞと動いた。
 二人分の体重を乗せたベッドが軋んだ音を奏でる。

「起きたか、……モーニン」

 眩しげに目を擦る腕を辿れば剥き出しの肩、直ぐ傍らの体温を探すように伸ばされた反対側の腕が、ピタリと動きを止めた。

「………」
「うん? どうした?」

 サイドボードの上から携帯灰皿を手に取って煙草を揉み消し、再びサイドボードへと戻す。そうして自由になった手で髪を撫でてやると、ヒクリと頬が引き吊る様子が朝日に照らされた。

「……普通、逆じゃないかい?」

 アメリカが、自身を撫でる腕を目線で辿って見上げた先、紫に色を変える程の鬱血痕が散りばめられた首の更に上で昨夜泣き腫らした目許を朱に染める童顔は、明らかに……昨夜見たばかりで記憶に新しい、羞恥に色付いたソレとは違う。
 可笑しい、こんな筈ではない。
 アメリカはむくりと身体を起こした。

「アメリカ……?」

「……もう一回寝直そうか、イギリス」

「いや、俺は飯作……ちょ、待て! なに無理矢理ッ! おい! ちょっ……!」

「俺より先に起きられないぐらい、疲れさせてあげるよ」

「まっ……やめっ……アッーーー!」







悔しくて納得出来ない19歳でした。




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