君がいる明日 - main
シリアス現代パロ


:)米視点
:)シリアス要注意

:)現代パロ
┗仏と米が実の親子関係
:)年齢=仏(31)、英(23)、米(15)

※仏英要素アリ





 俺にはカゾクってやつが一人いる。

 そいつと初めて会ったのは、忘れもしない中学の終わり。

 寒い、寒い冬の出来事だった。





「悪い冗談はよしてくれよ!」

 叫んだ声は言葉に表せない様々な感情を孕んで廊下に響いた。
 俺の憤りなど大して広くもない家の中に吸い込まれ、再びシンとした静寂が訪れる。

 今朝、今日は真っ直ぐ帰って来いよと告げたフランシス……父さんが、戦慄く俺の気持ちなど知った事ではないと言うように、俺に向かって一歩進み出た。

「こーら、アル。今日から一緒に住むのに、そんな事言うんじゃないの」

 フランシスの隣に立つ人物を見る。
 初めて見る顔だった。

 アーサー・カークランド、そう名乗った相手に覚えた言葉に言い表せない程の感情は、きっと俺にしか分からない。
 俺の言葉に特徴的な眉を下げて唇を引き結んだ彼を庇うように、フランシスが一歩前に出る。

 再婚しなよ、何度そう言っても首を縦には振らなかったフランシス。もし良い人を連れて来た時は、心から応援しようと決めていた。それなのに……。










「……フランシスが……死んだ……?」








『正月は家族で過ごそう』

『進学の前祝いに皆で旅行に行こうか』

『桜が咲いたら三人で花見に行こう』

『夏になったらさ、カナヅチのアーサーにどっちが上手く泳ぎを教えられるか競争しような』


『クリスマスには帰っておいで。アーサーと二人で、お前の好きなケーキを用意して待ってるよ』


 フランシスから届いたメール。
 そのどれもが叶う事は無かった。
 この先も永遠に、叶わない。

 事故の報せに駆け付けた病院のベッドの上で見たフランシスの顔は、安らかで。

 本当は、他の誰より俺が認めてあげなきゃいけなかったのに。
 俺の前では何時だって自分の事を後回しにしていたフランシスが、初めて選んだ人なんだ。
 分かってたのに。

 俺は、紹介したい人がいると言われた時に見たフランシスの真摯な顔や、アーサーを連れて来た時の、生真面目そうでいて、その実とても嬉しそうだった笑みを思い出していた。

「……っ……」




 俺は荒れに荒れた。

 補導される度に呼び出され、保護者として何度も連絡を受けアーサーは、その度に俺を迎えに来て、同じ数だけ深く頭を下げた。
 進学が決まっていた筈の高校には行けなくなり、最初は引き取り手に名乗りを挙げていた親戚とも一人、また一人と疎遠になった。

 気付けば俺の傍には、アーサーだけが残っていた。

 戸籍上は俺の兄として名を連ねる、俺のカゾク。

 いつしか荒れた気持ちは収まり、俺は尖る事をやめた。

 俺とアーサーの関係は少しずつ近付いて行った。本当の家族みたいに。


 ───それなのに。




[ 寂しがり屋の恋愛方程式 ]



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↓後書き&妄想話


年齢に突っ込まれてしまいそうですが、これ英が仏とも米とも8歳ずつ離れてるんだ。8つ、同じ歳だけ離れてるんだ。
つまり歳の差は、英が米を拒める理由にはならないんだ。
萌え…ませんよねですよねー!

最初は前編中編後編で考えていた話でしたが、一気に書き上げたプロットを見ても恋愛のレの字も発生する前に終わってしまっていて(※しかもシリアス)、おっとこれは不味いとお蔵入り中。
今回は内容を簡略化してupしました。

更なる展開は、アルフレッドが落ちぶれて入ったお馬鹿高校が実はアーサーの母校である事が分かり数々の伝説を聞いてポカーンとしつつも、其処からアーサーが有名大学に進んだ事を聞いて自分だってとヤル気を出したり、そんなこんなで打ち解けた矢先に、フランシスの墓前で一人涙するアーサーをうっかり見てしまって、自分と居る理由が只単にフランシスの子だから、なんじゃないかと悶々としつつ、かと言ってじゃあ何なら良いのか自分の気持ちが掴めず葛藤。アーサーもアーサーで、フランシスを失わせてしまった罪悪感を抱えながらアルフレッドの親代わりなんだと踏ん張って。

再びギクシャクしつつも、お互いだけが家族であり大切な人を失くした共通の悲しみがゆっくりと二人の関係から棘を抜いて行く…。そんな時、気が緩んだアーサーが泥酔して帰って来て…

罪悪感と葛藤、こんなのダメだと知りつつも抗えず、愛情なのか何なのか分からないままにアーサーを手離せないアルフレッドと、アルフレッドを拒めないアーサーの歪な関係。
其処には更なる秘密が隠されていた…!

そんな、自分が読み手だったら連載中に胃がパーンしてしまいそうなドシリアスな昼メロを書きたいとです。
更なる秘密なんて要らないぐらいに既に当社比シリアス300%
ハッピーエンドで終わらせる場合、いかに納得の行く形まで持って行くかがミソですね。


いつか…長編でハッピーエンドまで書くんだ…

…ハッピーエンド…なる、のか…?

誰、得…






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