君がいる明日 - main
1日目


「っ……好き、だ……」

 同じ学園の生徒会長で、たまたま俺の隣の家に住んでいて、今は俺の前で赤面している彼、アーサー・カークランドと俺、アルフレッド・F・ジョーンズは、さっきも云った『同じ学園』『家が隣同士』以外は何の共通点も無い赤の他人だ。

 今は学園の校舎裏に二人きり。台詞も相俟って、俺は友人の菊から借りたようなゲームのベタなシーンが浮かんだけれど、彼も俺もれっきとした男だ。
 全く、罰ゲームか何かかい?
 俺は首を傾げて無難な返答を探す。

「…? 俺も君の事は嫌いじゃないよ」

 俺の言葉を聴いたアーサーは、その太い眉をギュッと歪めて俺を見た。
 への字に曲がった口に、泣き出しそうだなと思った時、アーサーが俺の方へとずんずん歩いて来て突然襟首を掴まれた。瞬きをする間も無く柔らかいものが唇に押し当てられる。

(え……?)

 思わず肩を押して突き飛ばしてしまうと、アーサーはよろよろと数歩下がって目を逸らしながら口元を手の甲で押さえた。つられて俺も自分の口元に甲を宛がう。

「……こう云う意味で、だ…」

「………男同士じゃないか…」

 俺はドン引きした。確かにアーサーは小柄だし顔も童顔だし、可愛い部類に入るかも知れない。けれど俺にそんな趣味は無い。
 片足を引いて後退ると、俺にドン引かれて居る事に気付いたのか再びアーサーが泣き出しそうに顔を歪ませて、けれど堪え切れないといった様子で直ぐに涙を溢れさせる。
 そしてそのままボロボロと涙を零しながら、まだ上手く事態が呑み込めない俺を置いて走り去ってしまった。


 その夜。
 俺は自室のベッドに転がりながら彼の部屋の窓を眺めた。
 あの窓の向こうに彼を見掛ける事が多々あるから、恐らく彼処が彼の部屋で間違い無いだろう。
 いつもは遅くても22時には灯りが点いて、きっかり深夜0時に消える彼の部屋は、深夜2時現在、まだ一度も明かりが灯っていない。
 今夜は点けずに寝たんだろうか…、そう思って寝返りを打った時、丁度明かりが灯った。

 互いにカーテンを閉めて居るから姿は確認出来なかったけど、直ぐに消えた其れを確認してから俺は目を閉じた。

 



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