* 12/23 10:10
「『研究所内で暴力事件? あわや大惨事と云う所で所員6人掛かりでなんとか取り押さえ……』――全く、年末で忘年会の時期だからと言って、あまり羽目を外し過ぎないで欲しいものです」
菊は所内速報を読みながら緑茶を啜った。
不意に袖が引かれて視線を下げる。
「てっぺんの星が届かねぇぞコノヤロー」
ロヴィーノに引かれて部屋を移ると、子供二人の手で飾られた可愛らしいツリーが目に入った。
「おや……お二人とも、綺麗に飾れましたね。では、僭越ながら星は私が……こんな感じで宜しいですか?」
こっくりと頷く二人に笑みで応える。
二人の表情が暗いのは、決して天辺の星が飾れなかっただけではない事など訊くまでもない。
「……大丈夫ですよ。お二人とも、明後日のクリスマスには迎えに来てくれますから。楽しみですね、クリスマス」
「アーサー……」
「アントーニョ……」
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* 12/23 23:30
「よしギルベルト。お前、トナカイやれ」
「突然なんだよ!? つか……どうしたその怪我」
「この怪我はサンタの勲章だ」
「は?」
「頼むわギルベルト〜、俺らサンタ役で忙しいんや」
「トナカイなんて脇役な上に、その衣装! 全身ピチピチの着ぐるみじゃねぇか! やるなら俺様もサンタがイイ!」
「ああ゛? テメェ……それはつまり俺が『ギルベルトは使えないので次のボーナスはカットで』っつって上に報告しても良いって事か? ……棒にブッ刺したナスをケツに突っ込まれたくなかったら……大人しく、やれ」
「なっ……!?」
「……こいつの部下やなくてホンマに良かったわ」
「それになギルベルト、ルートヴィッヒの事を考えてやれよ」
「……ルッツ?」
「こんなフランシスの成れの果てみてぇな髭を生やしたむさ苦しい親父コスより、ピッタリフィットで肉体美を強調されたトナカイの方がルートヴィッヒだって弟として誇らしいだろ? ……保てよ、兄の威厳」
「兄の、威厳……」
「ほら、この赤い鼻を見ろよ。キュートだろ? それにこの角……カッコ良いと思わねぇか?」
「……カッコいい角……トナカイみたいにカッコいい俺様……俺様カッコいい……よし、やるぜ!」
「阿呆や……」
「クリスマスは、明後日だかんな!」
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