★勘違いロンド


「尽八ー、どこ行くの??」
「今日は巻ちゃんとお出かけだ!」
「ふぅん…」


あぁもう!!口を開けば巻ちゃん巻ちゃん巻ちゃん!!





あい らぶ しすたー 






「ってわけなんだけど、2人とも何か知らない?」
「知ってるも何も、総北チャリ部のやつだよ。」
「総北…まさか尽八、他校のマネージャーに手だして…!!」
「ハァ?!巻島はマネージャーじゃっもが…んーーー!!」
「オレたちもよくは知らないが、仲良いみたいだな。」
「やっぱり…!!」






総北高校の巻ちゃんさん…。新開くんや荒北くんも知ってるくらい仲いいみたいだし、やっぱり付き合ってるのかな…。
しかもわざわざ千葉まで会いに行ってるって事は、相当ラブラブってことだよね!?







−−−−−−−−





「おいバカ新開、テメェなにすんだ!ってか完全に勘違いしてんだろアイツ!!」
「いや、その方が面白いと思ってな。それに…」
「あ?」
「もう高校生なんだ。兄離れしたほうがいいだろ?」



イイ笑顔でそう言った新開のヤツにオレは軽い眩暈を覚えた。が、ヤツの言う事もあながち間違えでは無いのが現状である。



そう、東堂双子の、取り分けありすから尽八へのブラコンっぷりはチョットした箱学名物に成る程のものだ。

今までお互いに恋人が居なかったから良かったものの、これで尽八に彼女ができたとなると…ありすが黙っているわけがない。







「ねぇ!!その…巻ちゃんさんって、どんな人なの??」
「どんな…。スレンダーで綺麗なロングヘア。睫毛の長い切れ長の瞳にセクシーな泣きぼくろってところだな。」
「オイ!」
「ん?何か間違ってるか?」
「いや…間違ってはねーけどォ…」



そう確かにウソは言ってねェ。
スレンダー(と言うより細長いって感じだが)だしロングヘア(玉虫色だけどな)だ。切れ長の瞳で睫毛も長かった気がするし、泣きぼくろが世間一般的にセクシーと言われるのも本当だ。




「(けどよォ…!!おめーぜってー楽しんでんだろ!!)」





−−−−−−−−





どうしよ…やっぱり彼女なんだよ、ね…。しかもかなりの美人さん。


今までだって尽八の周りは女の子でいっぱいだった。でも特定の彼女はいなかったから、だから我慢する事ができた。だってわたし達は双子。尽八はわたしの、わたしは尽八の『特別』な異性なのだから。でも、尽八にとっての特別な女の子はわたしだけじゃ無くなっちゃったんだ…!!


喜ぶべきなのに、おめでとうって言ってあげなきゃいけないのに。どうしよう、わたし、尽八が誰かのものになっちゃうのがイヤ…!


巻ちゃんさんの事をいつも楽しそうに話す彼の顔が目に浮かぶ。最初は仲の良い友達か何かだと思っていたけど、いつしか一緒に出掛ける回数が増えてきて…。それに比例する形でわたしと過ごす時間が減っていった。




巻ちゃんさん…一体どんな人なんだろ…。そんなに魅力的な人なの??双子の妹より大切なものなの?





−−−−−−−−




「決めた!!わたし、千葉行ってくる!」
「ありす?!」
「巻ちゃんさんが尽八に相応しい人か確かめてくるの!!」




鞄をひっ掴むと、声をかける間も無く教室を飛び出して行ってしまった。
いやいやいや!千葉まで行くのはいいが(いや、良くないけど)お前…




「授業どーすんだよボケナス!!」













(新開…テメェのせいだかんな!)(はは、そういえばありすって総北の場所知ってるのか?)(あ…!!)







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