いちご殺人事件


身長148cm
ふわふわの栗色の髪
クルリと丸い瞳
小さな白い手

これがオレの彼女、弥生ありす(17)のスペックである。




―――――――




「なぁ靖友。ありすとはどこまで進んだんだ?」
「ブッ!!新開テメェ…!」


唐突にふられた質問。
元気か?とでも聞くような、なんとも軽い口ぶりでとんでもない事を聞いてきた。
が、同時に今のオレにはなんとも痛い質問でもあった。


「で、どうなんだ?」


興味津々という事が嫌でもわかる顔。いっそのことマジックで書いてやろうかと頭の片隅で独りごちるも、しつこく聞いてくる新開に苛立ちを覚えたオレは、食べかけのパンをヤツの口に無理やり押し込むと、半ばヤケクソに言い放った。


「まだ全然進んでネェヨ!!」

「…!ふぁしは(マジか)!?」


そう、ありすと付き合い始めて3ヶ月。オレたちのお付き合いは手を繋いただけという、なんとも健全なものであった。


「オイオイ靖友、冗談だろ…もう3ヶ月だよな?」
「……アァ…」
「キス…は、したよな?」
「……」
「え?!まさか…」
「っるッせ!!ワリィか!」


新開が驚くのも分かる。一番驚いているのは自分自身なのだから。
なんたって高校生、ハッキリ言ってしまえばヤりたい盛り、だ。
男は下半身でモノを考える生き物とよく言うもので、もちろんオレだって例外ではないし、彼女に対してそのような欲求を感じ無いわけでは無い。


「あー…悩みくらいなら聞くぞ?」
「…オマエ、その可哀想なモノ見る目で見ンのヤメロ。」


いっそのこと笑ってくれたほうがマシだ。


先程も述べた通り、ありすは見た目が小さい…というよりも幼い。確かに年齢的には変わらないが、2人で出かければ「仲のいいご兄妹ですね」と言われるのは日常茶飯事で、もうすっかり慣れてしまった。
彼女を子供扱いするわけではないが、もしこのまま先へ進んで嫌われたら…そう思うとあと一歩が踏み出せなかった。
なんとも情けない話である。


「お前の気持ちも分かるけどよ、ありすの気持ちはどうなるんだ?」
「ア?」
「あいつだって子供じゃないんだぜ?」




―――――――




気り道。
昼に新開にに言われた言葉が頭の中をぐるぐると巡る。
そんなことはわかってるんだよ!とは言ったものの、実際にどうするとなると話は別である。ちらりと横目に隣の彼女を見ると身長差のためか彼女の顔は窺えず、柔らかそうに波打つ髪がふわふわとただよっていた。


「靖くん。」


不意にシャツを引かれ呼び止められる。
隣にいたはずの彼女は何時の間にか歩みを止めており、その手には控えめに握られているオレのシャツがあった。


「どうしたァ?」


すぐに返答は無く、一息置いたのち、いつにになく深刻な顔をした彼女が意を決したように深く息を吸う。


「あ、あのさ…!私たちって、その……えっと、付き合ってるん、だよね…??」


一瞬なにを言われたのか分からなかった。だが、へにょりと眉をハの字にし、泣きそうな表情へと変わりつつあるありすを見て何とか言葉を紡ぐ。
出来るだけ、冷静を装って。


「オレはそのつもりだったけど、オマエは違ったのかヨ?」
「わたしだってそのつもりだよ!でも…」


そう言ってまた俯くとモゴモゴと口ごもる。


「だって…」
「だって?」
「…て……ない………ん!」
「ア?」



「恋人らしいことしてくれないじゃん!!」


顔を真っ赤にした目の前の彼女は今なんつった?
さらに続けて彼女が言う。


「そりゃ、美人じゃないしスタイルもお子ちゃまだけどさ!わたしだって子供じゃないんっ…!」



ンだよチクショーあんなに悩んでたのがバカみてーだ。
ただ一つ気に食わないのは、これを新開が先に気づいていた事だろうか。
とにかくつっかえていたモノがスッと無くなると同時に、今まで溜めてきた気持ちが溢れ出す。自分でも恥ずかしいくらいのこの気持ちが口を割って出てきてしまいそうで、それを堰き止めるように彼女の口を塞いだ。



「っは、や、ややややすくん!?」
「ンだよ。言っとくけど、これからは容赦しねーからナ。」
「ぅえ?!どういうこと?!」



人通りが少ないとはいえ、ここが公共の場だという事を思い出し、彼女の手を引いて歩き出す。
パニックを起こして今にも頭から湯気が出そうなありすが面白くて思わず笑うと、ジトっとした視線が返ってきた。



「だからって…こんな急に…!」
「オイオイ、キス位でこんなんで大丈夫かァ?」
「今のはその…不意打ちだったから!それに、」


繋いでいる小さな手に力が入りぎゅっと握られ、真っ直ぐにオレを見る大きな瞳と視線が合わさる。


「靖くんだから、大丈夫だよ!」



へらりと笑って落とされた爆弾。




「ったくヨォ…!」




破壊力は凄まじく、






その笑顔、犯罪級!!











(靖友!)(ア?)(おめでと!)(アァ!?なんで知ってやがる!)(いや、靖友達が上手くいくか心配で…)(ブチッ←何かが切れる音)








―――――


しそ様お待たせしてしまい申し訳ありません!リクエストありがとうございました(*^o^*)
思春期との事で、彼女に手が出せない北さんにしてみましたが、如何だったでしょうか?荒北さんってきっと奥手だと思うんですよ。いや、野獣系荒北さんも好きですけどね!いろいろと心の中で葛藤を繰り返す荒北さんが好きです。

こんな爽やか青春系じゃなくて、エロっちいのが良かった!もっとガツガツ系荒北さんが良かった!等ございましたら、お気軽にご連絡下さいませ。


管理人 ありす





back
「#幼馴染」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -