D「ある晩秋の日」
(…晩秋のある日の夕刻…)
しのぶ「今年も終わりに近付いてきましたねぇ。何だかあっという間でした」
炭治郎「はい、本当に」
しのぶ「そういえば、今年は手作り弁当を手渡されたことで、竈門くんがお料理が得意なことを知ったわけですが…」
ガラガラッ
煉獄「此方に竈門少年はいるだろうか!」
炭治郎「煉獄さん!?」(ガタッ)
しのぶ「あら、煉獄さん。お久しぶりです」
煉獄「うむ。久しぶりだな、胡蝶!」
しのぶ「どちらへいらしたのですか?」
煉獄「少し足を伸ばして、相模国の海湾にな」
炭治郎「煉獄さん、後ろに担いでいるそれは…?」
煉獄「鰹(カツオ)だ!」
炭治郎「え?もしかして、釣ってきたんですか!?」
煉獄「そうだ。彼方に知り合いの高齢の漁師がいてな。今年は戻り鰹の漁を手伝いにゆくと約束していた」
炭治郎「へぇ〜凄い!まだ生きているみたいに綺麗ですよ、しのぶさん!うわぁ、大きいなぁ!」
しのぶ「本当に立派ですね。一体どうやってここまで運んだのですか?」
煉獄「無論、担いで走って来た!」
炭治郎「えぇっ!?う、嘘でしょ!?」
煉獄「勝男武士という言葉を知っているか?」
炭治郎:(き、聞いていない…💧)
煉獄「鰹はとても縁起の良い魚だ。これは君への贈り物だ。先を行く柱として、成長を願う君に是非ともこれを食べて頑張って欲しくてな!!」
炭治郎「煉獄さん…(俺のために…?)。グスッ。有難うございます、嬉しい。こんなに大きいんだし、善逸たちも呼んで皆で一緒に食べましょう!」
煉獄「それはいい考えだ!」
炭治郎「しのぶさん、台所を借りてもいいですか?」
しのぶ「勿論です。竈門くんの料理の腕前がずっと気になっていました。傍で見られるいい機会です。この鰹を捌(さば)くには私は力不足ですが、それ以外でお手伝いさせていただきますよ。まずは、来れそうな皆さんに声をかけてきますね」
炭治郎「有難うございます。俺、急いで捌きますね!うわ、お、重っ…💧!?」
煉獄「手を貸そうか?」
炭治郎「い、いえ、これも修行の一環ですから…!!(この人、本当にこれを相模から背負って走って来たのか…!?)」
煉獄「意識が高いな。感心、感心!ハッハッハ!」
炭治郎「ぐぬぬぬ…💢💦!!(柱って…柱ってやっぱり…!!)」
〜二〇二二年一月二十七日
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