つまり、何が言いたいかって?


ねえ、プライバシーって言葉を知ってる?privacyっていうのは、ラテン語の一人称単数形privusの現在直接法形privarの完了受動態分詞privatusをもとに、15世紀中世英語としてできたprivateに、その後50年のうちに抽象名詞を作る-acyっていう接尾辞をつけて派生した言葉なんだよ。だけど、わざわざこんな言葉の起源を調べたところで、会話のなんの役にも立たないし、ここにはそもそもプライバシーってものがないみたいなんだよね。だからつまり、なにが言いたいかって、そう、ここにプライバシーってものが存在しない、ってこと!!

「…モニカ、何が言いたいのかしら?」
「僕にもさっぱりだよ、リリー!」

夕食後の談話室。一角を陣取っている、リリーとジェームズ、それから端っこに仕方なく一緒にいるんだみたいな感じで本を読んでいるリーマスに囲まれてる。

「モニカが言いたいのは、自分とシリウスの性生活が明るみに出てて僕達があれこれ口出ししてるってことじゃないかな?」

ぱきっと音を立ててチョコをかじったリーマスが、親切なことに説明をしてくれる。ありがとうなんて言わないけどね。お前が暴露したってことは、シリウスから聞いているんだ、腹黒野郎。今年のクリスマスギフトのお菓子に毒を盛らない保証はないから!





今日の朝、リリーに昨日シリウスとしなかったことを小声であれこれ言われたので、誰にも言わないでと約束してから大広間に入った。私を起こさなかったことにクレームを入れようと思ってシリウスを探すと、大笑いしてるジェームズの声を頼りに見つけることができた。
近づくと、ジェームズは目に涙を浮かべてて、シリウスはいらついているというか、うんざりというか、げっそりというか、そんな様子だった。シリウスより先にジェームズが私に気づいて、いきなり握手されて、君は大したトレーナーだ!飼い犬にいつまで「待て」をさせる気なんだい?と言われた。頬が熱い。あーなるほど。シリウス言ったな。ジェームズの言葉で私は知られていることに気づいたし、そのやり取りを聞いてたリリーも約束を守る気がなくなった。

すぐにシリウスを問い詰めたかったけど、授業の時間が迫ってたのでトーストを一枚口に詰めるので時間切れになって、授業中も移動中もシリウスと私が何とも言えない沈黙でいる後ろで、外野がくすくすガハガハしてるのを耐える羽目になった。
お昼ごろキレたシリウスが廊下でスリザリン生に魔法をかけたことの罰則の通達を受けた後に、やっとリーマスがジェームズに話したってことを教えてもらった。リーマスに向けたい沸々とした感情は、リーマスに向けたらそれこそ恐ろししっぺ返しがあるってことは私もシリウスも分かってるので、午後の授業の間に性格の悪いレイブンクローの集団に悪戯グッズを投げて発散したら、見つかって罰則をくらった。





でシリウスがスリザリンの方の罰則に行ってしまって、私が一人でこの人たち全員相手をしなければいけない今の場面。

「そりゃあ、口出しもするさ!シリウスがやっと女性とまともな関係を持ったと思ったら、今度はプラトニック・プレーだなんて、このままじゃシリウスが昔の超が付くプレーボーイに逆戻りしてしまいそうで、親友の僕としては心配なんだよ!」
「私も心配なのよ。頻繁にとは言わないけど、シリウスも我慢の限界が来て、あなたと別れるなんてことは起きて欲しくないのよ」

この二人が同じ意見っていうのがレアで関心してしまう。私やシリウスのことでこんなに真剣になってくれるのは嬉しいけど、ジェームズはいつにもまして熱いし、リリーも珍しく踏み込んでくるなあって思っちゃう。ていうか、リリーって私がシリウスと付き合ってること反対してたよね?

「シリウスが我慢してくれてるの知ってるよ?私だって、別にしたくないってわけじゃないんだよ」
「じゃあ何なんだい?」
「タイミングっていうか、昨日はそういう気持ちになれなかったっていうか」

私がいて、シリウスがいて、ベッドもあって、まさにおあつらえ向きの環境だったんだけど、あのときの気分は絶不調だった。私の言葉の続きを待ってる二人の視線がつらい。言わなきゃいけないかなあ、これ。恥ずかしいよ?シリウス早く、帰って来て。いや、シリウスにも言いたくないなあ。シリウス帰ってこないでいいや。うーん、つまり、何が言いたいかって、これってすっごいプライベートな問題なんだよ。