とある海賊の日記帳
○月△日 はれ
今日はワイヤーに新聞を買っておいてくれとたのまれた。
船の上で待っていると、ニュースクーがやってきたので、ベリーを私たら値上げしたと言われた。
困ってたらキラーが足りない文をはらってくれた。うれしかった。
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困(こま)ったらすぐに仲間(なかま)を頼(たよ)ればいい。
あと、漢字(かんじ)が間違(まちが)っていたぞ。
×私たら
○渡したら
×足りない文
○足りない分
こうだ。次(つぎ)からは気(き)をつけろ。
from キラー
○月☆日 はれのちくもり。でもときどきはれてた
今日の昼ごはんはカレーうどんがでてきた。
おいしかったのに、兄ちゃんとキラーがすごいいやなカオしてて「今日の昼ごはん作ったのだれだ!?」って怒ってた。
ドルヤナイカちゃんを笑った時のこと、まだ気にしてんだな。まったく、小さい男たちだ。
しかたがないから、二人分のカレーうどんはアタシがおいしく食べてあげた。
二人の昼ごはんはというと、かわりにカレーライスが出てきてた。
ドルヤナイカちゃん元気にしてるかな?
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船長達が苦手だったって知らなかったんだ。
悪ぃ、次からは気を付けるよ。
今日の料理当番より
△月■日 雨
今日は朝から雨がふってた。
おかげでアタシのかみの毛は朝からモッサリだ。
外にも出られないし、たいくつだから昼ねしてた兄ちゃんのカオにらくがきしてみた。
けどすぐにバレてグーでたたかれた。さいあくー。
あー 早くは れな い か√ζ
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眠い時は日記を書くのは後にしな。ミミズがのたくったような字に最後なってたぞ。
あと、机で突っ伏して寝たりなんかしたら風邪をひく。ちゃんとベッドで寝た方がいい。
ワイヤー
△月×日 雪
今日はきのうからふってた雨が雪にかわってた。
せっかくだから雪だるまと雪肉をつくってみたけど、手がまっ赤になっていたかった。
お昼になってゴハンを食べおわった位に、てきの海ゾクがやってきたから、みんなで追いはらった。
明日には新しい島につきそうだってキラーが言ってたから、ちょー楽しみ。
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あー、あれだるまと肉だったのか?
次からはちゃんと手袋とマフラーしておけよ。
ヒート
ここまで書かれたリリアーヌの日記帳を見て、キッドが思ったこと。
それは──、
「お前らはコイツのオカンか!!」
である。
後付けの仲間達の感想が事ある毎に妹を気遣う言葉ばかりで、キラーに至っては書いた漢字にふり仮名まで振ってやる始末だ。
余りにも妹を甘やかし過ぎな面々に腹が立ってくる。
「うらやましいなら兄ちゃんも日記始めたら?」
「違ェよ!皆、お前に甘ェって言ってんだよ!!」
「そう拗ねるな、キッド」
「オレら、一番はキッドの頭って思ってるからよ」
「違ェつってんだろ!!妙なフォローすな!!」
苛立ちを隠せないでいるキッドを暖かい目で見守る仲間達。
そんな彼らをリリアーヌはケラケラと笑っていた。
彼女がこれまで体験してきた日々が書かれた日記帳。
今日の頁は、最後にこう締め括られる事だろう。
今日も楽しく、兄ちゃん達と一緒に過ごしました
と。
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