×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -




2



美しい花には棘がある



切っ掛けはほんの些細なこと。
そう、彼女達はただ売られたものを買っただけに過ぎなかった。





「死ねや!!」

剣を振り上げながら向かってきた男を春夜は持っていた刀で一撃で斬り伏せた。左肩から反対の脇腹まで掛けて割かれた傷から夥しい血が零れ出る。
それを一顧だにせず、後ろに回り込んでいた新たな男を流れる動作で春夜は蹴り飛ばした。

「ぐふ…っ」

脇腹に食い込んだ右足が骨の弱い所にでも当たったのだろう。蹴り飛ばした瞬間にバキッと嫌な音が聞こえた。
だが興味もへったくれもなかった。この喧嘩を最初に売ってきたのは彼等だったのだから。

「口程にもない」

鼻で笑い飛ばした後、春夜は徐ろに刀を鞘に戻し、静かに抜刀の型を取る。
それだけで場の空気が凍り付いたような錯覚に襲われた。殺気と畏怖に満ちた彼女の世界だ。そして技が放たれる合図でもある。

「──斬々首(きりぎりす)」

そう口にした途端、彼女の周囲にいた破落戸数人の胴体から上が無くなっていた。遅れて首があった場所から鮮血が噴水のように噴き出す。
抜き身になった刀を持つ春夜がいつ抜刀したのかさえ、その場にいた誰も気付かず、呆気なく死を迎えてしまった。
ふぅ、と溜息を吐く春夜の後ろでガンガンと銃弾を撃ちまくる女性──ホワイティベイは、銃身が熱くなるのも構わずに次々と敵の足や肩に狙いを定めては引き金を引いていく。

「ちょっとぉ、あたしの特技はガンマンじゃないんだよ」
「だが、様になってるじゃないか」
「うっさい!」

一喝すると共に一際大きい銃声が辺りに響き渡った。勿論、放たれた銃弾が向かう先は無頼漢の眉間である。

「ああ、もうっ、うざったい。春夜!」
「はいはい」

名前を呼ぶと共に乱雑に放り投げてきた銃を春夜は軽く受け止める。それを最後まで見届けずに、ホワイティベイは腰に下げたカットラスを勢いに任せて抜き去った。

「今度はあたしが斬り込むから、アンタは──」
「銃で応戦、だろ?」

不敵に笑い合う彼女達を止められる者など敵側にいる分けもなく、最早死を待つばかり。
そんな状況を遠くの方で眺めていた白ひげ海賊団の一行は、とある考えで心を一つにさせていた。
それは…、

「あの二人には逆らわないようにしようぜ」
「ああ。絶対な」




*****

前から書いてみたかった共闘話。今回はホワイティベイと春夜で挑戦。
やっぱり動きがあるシーンを表現するのは難しいなー。要練習、と。













漢のロマン

※『Her bodyguard』の続きです。短いです。




「因みにこんなのも用意してみたんだが!」


そんな言葉と共に、仲間の一人が自分の背後から勢いよく何かを取り出した。

滑らかな絹の生地に、裾に施された細やかなレース。生地と同系色の糸で描かれた大輪の花の刺繍が所々に縫い付けられたそれは、一つの白いワンピースだった。

品としては見事なものの筈なのだが、一点気になる所がある。

それは──、


何故そんなにも丈が短いのか、という事だ。


服自体の布面積が異様に少なく、下手をすれば中身が見えてしまうだろうその品は、用意した者の趣向が窺い知れる一品だった。

皆、この場にワンピースを用意した彼を見て、次にそのワンピースを勧められた当人の春夜へと視線を向ける。

彼女の答えは言わずもがな、


「却下だ」


の一言に尽きた。

哀れ、一瞬で男の夢を一蹴された当人は遠い目をしながら「ですよねー」と溢したのだった。




*****

中にはこういう考えを持った輩もいるのではないかと思って書いてみた作品。
当然、春夜の答えはNOです。あったり前ですよね!(笑)
この後、彼はイゾウの愛銃の的にされたりする。散々だな。













HUNGRY DAYS《アオハルかよ。》

※『裏切者は踊り出す』の話の内容をワンピコラボのとあるカップ麺CMに置き換えてみたらという俺得夢。




一陣の風がすぐ側を走り抜けた。

「ぐぉっ!?」

そう感じたと思えば、予想だにしていなかった所からの回し蹴り。それも急所の一つである鳩尾を正確に狙った攻撃に、流石のティーチも堪らずたたらを踏む。
傷みを訴える場所を手で押さえながら視線を向ければ、春夜が宙に浮かせた右足を地面に戻しながら、ギロリと鋭い眼光で睨め付けていた。

「っ、春夜…」

彼女の背後でサッチが掠れた声を上げる。
縋るような目付きにはティーチに奪われた何かを示唆しており、春夜は分かっていると言うように、ニコリと笑いかけた。

そして──、

再び目の前のティーチへと向けられた時、春夜の双眸には氷のように冷めた殺気が孕んでいた。すうと紅玉の瞳が細められるだけで、空気がひやりと重たくなっていく。

「で? これは何のつもりなんだ、ティーチ」

腰に手を添えて、弁解くらいは聞いてやるよと言う春夜だが、どんな言い分があったとしてもクラスメイトの私物を奪ったという事実が変わるわけではない。
彼女も、無体を働いたティーチを許す気は更々なく、その表情は怒りの色に染まっていた。

「ゼハハハ!!弁解も何もねェぜ!見た通りの状況だっ!」

絶叫じみたティーチの告白に春夜は眉を顰める。

見た通りの──。

それは他人の物を奪ったのみならず、ニューゲートのチームと敵対するという認識も勿論含まれるんだろう。
ここへ来るまでに知り得た学校内で起きている不可解な事件の数々。
明らかに内部の犯行だ、と真っ先に疑ったマルコがこの事件の調査を買って出てくれたのだが、あれも全てティーチが原因だったというわけだ。

「そうか…。ニューゲートを裏切ったんだな」

言うが早いか、両腕を中空に上げた春夜は一切の迷いなく、戦う意志を示す格闘技の構えをとる。

「お前は今ここで叩きのめしてやるよ」

裏切り者に容赦など必要ない。




*****

大筋はまるっこ一緒でしたね。というか変化なし。
ただあの話の内容をカップ麺のCMに置き換えたらという体で書いたので、ワンピの現パロ風に読んでくれれば幸いです。





[戻る]