▼ 貴方に、君に、教えてあげる(続編)
ちゅる、と濡れた音が互いの口から漏れる。
その合間合間では、彼から告げられる数々の想いが私の鼓膜を揺らして息つく暇も与えない。
「好きだよ、悠」
「愛してる」
「君が好きなんだ」
熱い吐息と共にそう呟かれ、私の心に封をするように唇にキスを落としていく。その繰り返し。でも、それだけで私の脳を蕩けさせてしまうのには充分だった。
「んんっ」
私も彼に愛を語りたい。
語られた分だけ、愛を返したい。
それなのに、典明君の舌が執拗に絡んできては離れてくれなくて、中々私の想いを彼に返させてはくれなかった。
「っふ、ぁ」
先程の、私がした触れるだけのキスなんて、まるでお遊びのよう。
そんな彼の奪うようなキスが、私の頭をぼうっとさせていく。
「んっ…」
何度目かのキスの後に、やっと典明君は私を離してくれた。
「愛してる」
最後に愛の言葉を私に告げていく事を忘れずに。
嗚呼、なんて、ずるい人。──だけれど、
「……わた、し…も…」
今の私の頭では小難しい事なんて何も考えられなかった。
ただ拙くも素直な言葉で、私なりの愛の言葉を彼に返したかった。
「すき」
やっと教えてあげられた私の想いに典明君は、とても満足そうな笑みを浮かべてくれた。
「よく出来ました」
と、常からは考えられないような甘い声を漏らして、その逞しい腕の中に私を抱き込んでくれたのだった。