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村人Aは一般人です





結局、あれから辺りが真っ暗になるまでバット探してみたけど見付からなくて、しかもあれ弟のだったものだから気付かれるや否やしこたま怒られた。
バットの代わりにと、いつもあった場所に置いておいた木の棒がダメだったらしい。

「こんなので三浦の魔球が打ち返せるわけないだろ!!」
「うん。三浦君が誰か分かんないけどゴメン」

いつもそんなに怒ることがないうちの弟だけど、今回はホントにご立腹みたいだ。
新しいの買ってくるから許してくれよ、と頼んだらなんとか納得してくれたけど、バットっていくらぐらいするんだろ?…くすん。
というわけで今日、学校から帰ってきてすぐになけなしのお小遣いを握りしめてスポーツ用品店に向かったわけなんですが、途中の道ですれ違った人の手にしてるものに気付いて背筋が凍りついた。
いやだってあれ、あの握ってるバット、私がこの間無くしたやつ。…え?もしや彼がいる所までぶっ飛んでしまった?
よくよく顔を確認してみたら、金髪に角刈りで『兆』という字が入った改造学ランを身にまとっていて、一目で不良だと分かった。
どうしよう…!まさかそのバットの持ち主を探してたりするのか?私がぶん投げてった先でクリーンヒットしたとか??え?ヤバくね???
半ばパニックに陥りかけるけど、いやいや待て待て。そもそもあのバットは私が無くしたものだと決まった訳じゃないんだ。一旦落ち着こう。クールに行こうぜ。

「……」

すーはー。と深呼吸を数回。再度勇気をもって振り返ってみたけれど、バットを持った青年はその場を立ち去った後みたいで影も形も見当たらなかった。
…うん、やっぱり見間違いだったんだ。そうに違いないよ!アハハハ。と心の中で誰にともなく言い訳しながら、私は止まっていた歩みを再開させた。
右の手足と左の手足を交互に出して歩いてた気もするけど。

「あ、兄貴!こんなとこで何してんすか?」
「億泰。いや、このバットの持ち主を探してた。もしかしたら、スタンド使いって可能性も無くはないからなぁ」
「へぇー」


*****

全くもって無いんですけどね。
村人Aは主人公と言っても、その辺にいる一般人と同レベルです。スタンド?何それ美味しいの?を素で言っちゃう子になります(笑)