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村人Aがおじいちゃんを救う





我ながら今日はついてない日だ。
犬のフンは踏んじゃうわ、
たまたま近くにいたその犬の飼い主に注意したら口論になるわ、
またまた近くにいた夜勤明けの警察官の方が見かねて助けにきてくれるわ…。
あ、最後のはついてた。
とにかく、総合すると我ながらついてない日だったわけだ。

「お嬢ちゃん、勇敢なのは良いことだが無鉄砲なのはいかんよ」

と、アドバイスしてくれた警察官のおじさんにはホント申し訳なく。
高校生にもなってご厄介になってしまうとは、自分でも恥ずかしいです。ホント。
そう言ったら、

「良いんだよ。わしにも孫がいて君と同い年くらいだが、こっちも向こう見ずなとこがあってね。だが、とても良い子なんだよ」

お嬢ちゃんみたいにね、と貫禄ある手で頭をポンポン撫でてくれた。おお!なんか照れる!
頭を撫でられたのって、家族以外では小学校の担任の先生にテストで満点取って褒められた以来だから超照れるっ!

「あ、ありが――」
「コラァーー!!」

とうございます。ってお礼を言おうとしたのに、警察官のおじさんに怒鳴られた。挙げ句、遮られた。
え、なんで?と思ったけど、おじさんは風のごとく二人の長身男性の内一人に駆け寄っていったので、そっちに叫んだんだろう。良かった。私にじゃないや。
よく見たらリーゼントの頭した方がうちの高校の学生服を着ているので、多分その子がさっき言ってた向こう見ずな孫かなんかなんだろう。というかリーゼントだよ!おじさんの孫、不良だったよ!やべー不良とイコールにされちまったよ、お母ちゃん。

「仗助、ここで何しとる!学校はどうした?」
「じいちゃん!今から行くとこだったんだって!」

アワアワと焦りながら言い訳しだす孫と、ん?どちらさんかね?と横にいる長身男性に視線を向けたおじさんと、彼に少し用があったのでうんぬんかんぬんと説明している何かのビンを持った男性と…、とそこまで状況観察していた私だが、こんなことをしてる場合じゃなかった。いけないいけない。私も学校に行かないと。
今から行っても遅刻確定なのは分かっているが、警察官の方と知り合った手前サボるのはどうかと思うので、今一度おじさんに会釈をしてからその場を去った。片手を挙げてくれていたから気付いてくれたみたいだった。

「じいちゃん、さっきの子と知り合いか?」
「おお、そこでちょっとマナー違反者と口論しとったから助けてあげたんじゃよ」


*****

村人Aは『水の首かざり』から仗助のおじいちゃんを助けてあげました。
こんな感じでモブの立ち位置から四部の世界を救っていきます。本人自覚ゼロですが(笑)