「アンタ、去年の誕生会の時もいたじゃないですか。何を今更気にすることがあるんですか」

「バカのくせに難しいこと考えてるとハゲるアルヨ。本物のヅラになっちゃうアルヨ」

桂の問いに対して、あっさりと答える新八と神楽。今この場にいる桂を、なんてことなく受け入れている証拠だ。いつも三人と一匹でいるところに、たまに他の人間が加わって来たところで一体なんの不都合があるだろうか。その人間が銀時を愛している者なら尚更だ。

思った以上に自分のことを認めてくれていた万事屋の子供達に嬉しさが込み上げる。その懐の深さに頭が下がる思いだ。嗚呼、そこはきっと銀時に似たに違いない。


「そうか、すまない、野暮なことを聞いたな」

「ただ言っときますけど、桂さんだけの銀さんじゃないですからね。僕らだって銀さん好きなんですから」

「そうアルヨ、基本的に銀ちゃんは私達…私のものアル!お前には私が寛大な心でレンタルしてやってるだけネ、今度からちゃんとレンタル代酢昆布3箱置いてけヨ」

「ちょ、何で今言い直した!?そのままいけばよかったじゃん!何でわざわざ僕を排除したの!?」

「ふっ、そうか。では次からちゃんと用意しておくとしよう」


銀時、お前は本当に愛されているな。桂はしみじみとそう思った。あの男は人に愛されて然るべき人間であることを、幸福を手に入れて然るべき人間であることを桂は誰より知っている。だからその事実が、まるで自分のことのように嬉しかった。



「僕らは銀さんが幸せならそれでいいんですよ」

「だから泣かすような真似したら絶対承知しないアルからな!銀ちゃん嫁にすんならその辺覚悟しとけヨ!」

「言われなくても覚悟の上。だからリーダー、銀時くんを僕に下さい!」

「駄目だナ、お前のようなウザい髪型の男に大事な娘はやれないアルぜ。髪切ってから出直して来いやアル!」

「て何やってんスかアンタら…」


三人はふざけ合っているのか真剣なのか微妙に判断に困る会話を続けながら、再び手を動かし始めた。片や恋愛、片や家族愛。形は違えど彼らが愛してやまない銀時の誕生日を祝うために―――

















(つーか全部聞こえてんですけどー…)

外のあまりにもな会話に出るに出られなくなっていた銀時が、寝室の襖にもたれかかりながら顔を伏せている。ごまかしようもないくらい真っ赤になってしまっているその顔は、その程度では隠し切れてはいなかった。


(何なんだよアイツら〜…)


何て平和で何て嬉しくて何て気恥ずかしいことだろう。

そこには、ただただ単純な幸福が存在していた。
幸福なんてものは、ただでさえ手に余るものであったはずなのに。いつの間に、こんなに周りに溢れていたのだろう。いつの間に、自分はこんな素直に享受できるようになったんだろう。その原因は、あまりにも明白過ぎた。



その襖が開けられて万事屋に笑い声が響き渡るまであと十分の、昼前の平和で幸福な時間であった。


















***

白さんより坂田生誕フリー小説を頂いて参りました!
ヅラと万事屋はこういう関係であってほしいな〜という理想が全て詰まっていて素敵でした…!このナチュラルにヅラが万事屋に受け入れられている感じがたまりません…!そしてみんな銀さんのことが大好きで仕方ない気持ちが伝わってきました(*^^*)こちらまで幸せです!やっぱり万事屋っていいですね!

白さん、本当に有り難う御座いました!


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