銀時は風呂から出て来た時点では着流し一枚だったが、床に散らばっている黒のインナーとスラックスを引き寄せて着て、再び着流しを羽織ってすぐにいつも通りの格好となった。


「帰るのか?」

「あぁ、この時間じゃもう新八も来ちまってんだろ。連絡入れんの忘れたからな…詫びになんか昼いいモン作ってやんねーとアイツらに怒られる」


その発言に、くすりと小さく笑った。銀時は本当にあの二人には弱いようだ。俺といる時も、遅くなるようならいつも電話を入れている。それだけ新八君とリーダーが大切なのだろう。あれだけ大切なモノを作ることを拒んでいた銀時に、家族を知らない銀時に、居場所を与え、安らぎを与え、再び前に進む力を与えたらしい彼らには、心から感謝している。

万事屋の子供二人よりも自分を優先して欲しいだなんて愚かしいことはさすがに考えない。
銀時が二人の為に帰るというならば止める気などない、なのでそのまま見送ろうとした。


しかし。


「来ねェの?」

「…は?」


予想外の発言に、間抜けな反応をしてしまった。


「昼飯イイモン作るったって、材料がなきゃ話になんねーだろうが。俺にそんな金があると思ってんのかてめー」

「…ないだろうな」

「だから財布がいなきゃ始まんねーの。お前この前のバイトで結構稼いでやがっただろうが。」

「つまりは俺に払えと?」

「そういうこと。特別にお前にも食わせてやっから、それならいいだろ」



本日、俺の誕生日。
いつもより豪勢な昼飯。しかも銀時の手作り。
それを、俺に食わせてくれる。
例え、材料費が俺の財布から出ていようと、これは、つまり

『誕生日だから、気合い入れた手料理をご馳走してあげる』

という、こういう解釈で間違いないだろうか。
というか、我ながらどんぴしゃではなかろうか。


あの銀時が、俺に。
嗚呼、6月26日。なんと素晴らしき日か。
夢の銀時のデレも素晴らしかったが、やはり現実の銀時のデレに敵うものはない。
こんなに幸せで、許されるのだろうか。
いや例え許されなかったとしても、俺は銀時の愛を受け取るけれど。


嗚呼神よ、俺、今すぐ死んでも悔いはないです。

あ、でもこの可愛らしい銀時とずっと一緒にいたいんでやっぱりまだ死にたくはないです。




「…銀時」

「!」


溢れ返る愛しさが止まらなかったのでぐい、と引き寄せてちゅ、と軽くキスをした。
調子に乗んなと頭にかなり痛いゲンコツを食らったが、その痛みにすら今は愛しか感じ取れない。



早足で玄関に向かう銀時を追い掛けながら、万事屋のお父さん的存在になる日もそう遠くはないかもしれないなと、俺は一人笑みを浮かべた。

















***

白さんよりヅラ生誕記念フリー小説を頂いてきました!!
まずタイトルが美味しすぎますね…!なんて素敵な四字熟語!今すぐ死んでも良い→やっぱり銀時とずっと居たいから死ねない、というヅラの心情が堪らなく良いです…!誕生日の特権、坂田のデレも存分に堪能させていただきました(*^^*)

白さん、本当に有り難う御座いました!!


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