そう言って寝返りを打ち、いつもの倍程怠そうな様子で横たわる。
「あ゙ー腰痛ェ…」
昨夜は結構励んでしまったからな、受け身の銀時は俺よりもずっと体力を酷使することになるんだろう。少々申し訳なく思いつつも、上下を変わってやるなどということは俺的に太陽が西から昇るくらいにありえない事態なので、せめてもと布団の中で手を伸ばし腰をさすってやった。
「オイ、ちょ、やめてくんない」
「俺の責任だからな、少しは楽だろう?」
「………」
そう言ったところ何も反論してこなかったので、銀時も満更でもないんだろうと判断して腰をさすり続ける。
そうしてる内にだんだんと抑え切れない愛しさが込み上げて来て、そのまま腰を引き寄せて後ろからぎゅっと抱きしめた。
「…朝っぱらから何なんですかてめーは」
「銀時、俺は幸せだぞ。誕生日の朝を貴様と共に迎えられるとは」
「てめーさては昨日やたら必死に誘いかけてたのはこれが目的か」
「そうだ、恋人と共に迎える誕生日程素晴らしいものはないだろう?」
そう、例え銀時自身が気にかけていなくとも、特別な贈り物や言葉がなくとも。こうして自らがこの世に生を受けた日を最も愛しい存在と共に迎えられることが、きっと他の何よりも幸せなことなのだろう。腕の中の温もりは、正に最高の誕生日プレゼント。
「あっそ…つーかお前風呂は?」
「貴様が寝ている間に入ったが」
「んじゃ俺も入って来るから離せ」
「俺が隅々まで洗ってやろうか?」
「死ね」
俺の申し出を華麗に一蹴して、銀時は床に脱ぎ捨てられていた着流しを肩に引っ掛けて風呂に向かて行った。俺の隠れ家の風呂は、もう銀時は何度も使ったことがあって場所は把握しているため、勝手知ったる様子だ。
…なんかいいな、これ。
結婚したら何かこんな感じなのだろうか。あれ、でもその場合は俺が万事屋の方に行くことになるのか?うむ、そうだな銀時が新八君とリーダーを手放すわけないからな。婿入りということになるか…いやしかし坂田小太郎とはあまり響きが良くないな。桂銀時の方が絶対響き的にいいぞ。
別に万事屋に行くとしても、籍まで向こう側に入れる必要もないからな。やはり銀時は俺の籍に入れよう。妻には桂銀時と名乗らせ、俺はいわゆるあれだ、万事屋のお父さん的な。
…完璧なプランではないか。今俺は自分で自分を全力で褒めたたえたい。
せっかくの誕生日だし、ちょっとプロポーズしてみようか。
あ、銀時が出て来た。
「銀時、問題は全て解決した。結婚しよう。」
「…何で出て来て早々意味不明なこと聞かされなきゃならねーんだ。電波もいい加減にしとけよ」
あまり乗り気ではない様子だ。そういえば去年の銀時の誕生日にもプロポーズしてみたら、婚姻届け破られたんだったな。まだ時期ではないのだろうか。まぁ、貴様が承諾してくれるまで俺はいつまでも言い続けるがな。
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