なんでこいつはこんなに臆病なんだろう。俺がずっとこいつのそばにいる、それが答えだってことに気づかないのか。嫌いなやつの隣にいるほど俺は暇でもないし興味のないやつと付き合うほどお人好しではない。それは、ずっと隣りにいるこいつが一番わかってるはずなのに。他のことはなんでもわかってるくせに、一番大事な、肝心な部分をこいつはちっともわかっちゃいない。ずっとずっと、一緒にいるというのに。
勇気を出して言ったんだろう、唇も、手も震えてる。小さな体がよりいっそう小さくなって、それでも必死に目の前で踏ん張っている。嬉しいけれど、それでも悲しい。彼女には何をすれば伝わるんだろう。どうしたら、不安を取り除いてあげられるんだろう。俺から愛されていること、自信を持って言えるんだろう。お前は、お前が思ってるよりもずっとずっと可愛いよ。離すわけないのに。俺がお前を、嫌いになる日なんて来ないのはわかりきってる。むしろ、お前が俺から離れることが、俺は怖い。いつか見放されるんじゃないか、どっかの男に絆されて行ってしまうんじゃないかって。わかりやすい優しさなんて与えられないし、きっとこの先もできない。それでもいいのかよ。俺で、お前は本当に幸せになれるのか。

俺は、多分十分すぎるほど愛されていて、甘やかされて、幸せなのだ。俺こそ、お前の全てが欲しい。許されるのなら、この先一生ずっと、隣にいたい、いてほしい。


「ほんっとーにアホだよな。ンなもん言わなくてもわかんだろ。……お前が言ったんだからな?ずっといろよ」


そういって抱きしめてキスをした。あー、ほんと好きだわ。こいつなしじゃもう生きていけねぇ。愛してる、これから先もずっと。




121129
♪ロスタイム/奥華子
企画慈愛とうつつ様に提出


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