好きだから、っていう理由がきっと一番当てはまるのだ。多分、この世で二番目って胸張って言えるくらい青峰のことを見てきたから。一番は紛れもなく桃井さん。ふたりが思いあってることなんてわたしから見れば明らかだった。邪険に扱うくせに時折見せる暖かい青峰の目も、黒子くんを見る時とは違う愛情のいっぱいつまった桃井さんの目も、どちらもこんなにわかりやすいのに何で気づかないんだろう。桃井さんのこと好きなんでしょー?ってふざけながら言うと決まって、んなわけねーだろって言う。でもその時一回だって視線が合ったことなんてなかった。そっぽを向いたり俯いたり。いつだってかち合うことなんてなかった。こんなにもわかりやすいやつなのに。自分の気持ちに気づいてないのか、蓋をしているのか。気づいてないなら正真正銘アホ確定。早く言っちゃえばいいのに。桃井さんが最後は青峰をとることなんて明々白々なのに、本人だけが気づいていない。さっさとお二人さんでしあわせになりなよ。ってわたしは胸の中で何度も何度も願う。そしてわたしの前から消えてしまえばいいのに。いい子ちゃんを演じようとしても、何度もわたしの脳が、心臓が、それを止める。桃井さんは、青峰のこと好きだよ。たったそれだけの言葉が言えなくて。言ったら全てが終わるから。しあわせになって。行かないで。その二つがわたしの中で交錯する。

教室の外でふたりが話しているのが見えた。青峰はいつも眉間に皺を寄せている。昔見せていた笑顔が見れることは滅多にない。見れるのは、桃井さんがいる時だけ。青峰が桃井さんの頭をくしゃりと撫でた。ここからでも分かる、桃井さんの少し赤く染まった頬。青峰の慈愛に満ちた視線。あーお腹いっぱい。嫌になる。むかつく。好き。机に伏せて、わたしは静かに泣いた。授業が始まるまでこのままでいればきっとばれない。青峰がわたしを気にかけることなんてないから。わたしのことに気づく人なんて、誰もいない。





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