「あれ、お前って大会見に来たことなかったっけ」
「うん。人多くて気持ち悪いし精市も別にいいって」
「でも最後くらい来りゃあいいのに」
「どーしよっかなあ」

休み時間に丸井とくだらない話していたら、ひょんなことからテニスの話になった。丸井は驚いていたが、実は私は一度もテニス部の大会を見に行ったことはない。私なんかがいなくたって強いから当然勝だろうし、女の子多いし、特に精市のファン多いし。それに試合を見に行くのって、なんかミーハーみたいで嫌だ。

「精市って強い?」
「おまっ、強いとかいうもんじゃねーよ幸村くんは。神の子って呼ばれてるって知ってんだろぃ」
「は、何それネタ?」
「ネタじゃねーし。幸村くん中学テニス界じゃ1番強いんだぞ。五感を奪うんだぞ」

よく意味がわかりません。キャパオーバーです。五感を奪う?え?

「テニス部って何やってんの?」
「テニスだろ」
「いやいやいや五感を奪うって聞いた後にテニスしてるって言われても」
「まあ五感奪うなんて神業幸村くんぐらいしかやらねーからさ」
「‥‥」

それにしたって五感って。改めてだが、今まで以上に精市はすごい人なんだとわかった。もう逆らえる気がしなかった。





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テーマ「人外ファンタジー」
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