彼氏ってのはもっと優しくてかっこよくて素敵って思えるようなものだと思う。少なくとも学生の、しかも中学生のうちなんかは特にそのようなものじゃないのか。周りの彼氏持ちの友達はみんな彼氏にゾッコンだし彼氏も彼女にゾッコンでいわゆるラブラブという感じなのだが、はっきり言って私と彼氏の関係にそのような感じは全くと言っていいほどない。

「今日の放課後部活終わるまで待っててね」

それは私に強豪中の強豪、立海大付属中学男子テニス部の超ハードな8時までの練習に付き合えということなのか。帰宅部の私は放課後超暇なのはわかる。だが8時なんて教室で勉強してても時間余るしそのうち施錠のため追い出されるだろう。この季節、夕方はまだ肌寒い。しかしこんなことにはもう動じない。慣れてしまった。とりあえず1つ、大きな溜め息をついて教室にある自分の席に戻る。

「幸村くんなんだって?」
「放課後待ってろって。全く馬鹿じゃないの?」

席つくと隣の席の丸井が話しかけてきた。丸井はお菓子ばっか食ってるデブだけど、一応いい奴。ただなぜこんな奴がモテるのかが永遠の謎だ。お菓子くれる巨乳なら誰でもいいような彼氏、私なら絶対遠慮。

「幸村くんに聞かれてたら殺されるぞ」
「大丈夫だってさっき戻ってったから。だいたい仮にも彼女を寒空の中‥‥私ってやっぱり彼女じゃないのかなぁ」
「そりゃだいじょぶだって。一応幸村くんなりの愛情表現だって。多分」

多分って何だよ多分って。でも、まあこうして精市が女の子に対して素の部分を見せるのは私しかいないから、その辺一応優越感。‥‥感じていいのか。そんな精市だけどそれでも付き合っているのは、精市が大好きだからだ。それに、待つのは嫌いじゃない。

「あーあ、もっとラブラブしたい」
「まあ無理だろうな」
「だよねー」

それでも精市がいいんだけど。





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