「信じらんねえ」
そんなこと言われたって俺が一番信じらんねえよ。
次の日、俺は教室で昨日の出来事を雷蔵、ハチ、そしてA組から兵助を呼び出して話した。恥ずかしさよりもあまりの衝撃的な出来事に他人ごとのように思えたのだ。そこに至るまでの経緯を全て話終えると、3人は三者三様の反応を見せた。
「嘘だろ?!おもしれー!」
「三郎が恋…有り得なさすぎる」
「よかったじゃん!」
上からハチ、兵助、雷蔵だ。流石雷蔵。優しい反応をありがとう。
「ていうか結局誰なの?」
「わかんねえ。この学校だってのは間違いないけど見たことないんだよな…」
「じゃあ先輩か後輩かな?」
「三郎が知らない可愛い子なんて珍しいな」
「大抵の子は手を出してると思ったのに」
ハチは一回死んでこい。しかし自分でも知らない女の子がいたのは本当に驚きだった。そんなに綺麗に身を隠す可愛い女がいるのか。
「とりあえず色んな教室見て物色してみる」
「何か特徴はないのか?」
「確か髪が長く………………………………あぁぁあ!」
「え、何?」
俺がたまたま廊下の方に顔を向けたその時。
「ああああの子…!」
間違いない、あの子だ!見間違えるはずがない。あの綺麗な長い髪に可愛いらしい横顔。どこのクラスだ、と思い急いで教室を飛び出し彼女の後ろ姿を見送る。その子はそのままD組へ入っていった。…まじかよ、まさか同学年だったなんて。
「あ、俺あの子知ってるぜ」
「はぁぁぁぁ?!」
ちょっとハチ今何て言った!知ってるだと?!俺はハチの胸ぐらを掴みブンブンと振り回す。
「吐け!知ってること全て吐け!」
「わわ分かってるから!話すから離せ!舌噛むだろ!」
そう言われたところで自分が取り乱していたことにやっと気づき、ハチを離してやる。ハチはったく…とかぶつぶつ言いながらワイシャツと呼吸を整えた。
さて、知ってること何もかも話してもらおうか。
100325