「だいたいクラシックなんか聞いてたら頭痛くなるよなー」
昼休み、B組で先程の3人+兵助で飯を食っていると、自然と音楽の授業の話になった。あんな音楽は睡眠を助長させるだけだ、と言った後で冒頭に戻る。その声が妙に響いたせいで俺達4人に視線が集まった。主に女子。多分吹部の奴らだ。
「…あれ」
「駄目だぜハチ、そんな女子から反感買うようなこと言っちゃ」
「三郎だって同じようなこと言っただろ!」
「頭痛くなるとは言ってない」
抜かりないな、と兵助がぼそりと呟いた。おいおい、聞こえてるぞ。まあ確かにそこら辺は気をつけて発言したつもりだ。女子から反感買ったらモテモテ鉢屋くんの株が下がっちまう。
「三郎、携帯光ってるよ」
「ん、あぁ」
スライド式の携帯の画面に女の名前が現れた。メールだが……誰だっけこいつ。
「見ねーの?」
「いや、誰だこいつって思って」
「ひでー!」
ひでーと言われたってしょうがない。俺は別に特別彼女を作っているわけではないし。ただ女の子に誘われたらデートなりそれなりのことをするわけで。俺は満足だし女の方は俺を隣に連れて歩くことで自慢になる。ギブアンドテイクだ。時たま本気にされるのが困りものではあるけど。
「あ、思い出した。最近逆ナンされた胸のデカい子」
「その覚え方どうなんだよ」
「まぁいいだろ。つうことで悪い、今日は一緒に帰れねー」
メールは見なくたってわかる。どうせ放課後デートしようとか何とかだろう。用事があるわけでもないし、と思いさっさとメールを作成し送信する。今金ねーからあいつんちの家にでも行くか。
100324