『もしもし鉢屋?』

「おい駿河、篠崎さんのアドレス教えろ」

『は、いきなり何よ。それにそんなの莉子に聞かなきゃ駄目に決まってるじゃない』

「それは俺のほうから謝っとくから、早く知りてーの!」

『だいたいあんた莉子のオケ聞きに行ったんじゃ、』

「だからメールすんだよ!」



俺はイライラしながら駿河に怒鳴ると、駿河は苛立ちを隠しながらしぶしぶ「じゃあメールするから一旦切るよ」と言って電話を切った。


公演が終わって外に出た後、俺は真っ先に駿河に電話した。一刻も早く、この気持ちを篠崎さんに伝えたくて。
電話を切った数十秒後、駿河から篠崎さんのアドレスが載ったメールが来た。先に駿河に「さっきはわりい」とだけメールをして、篠崎さんのアドレスを押し新しいメールを作る。



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to:篠崎さん
title:鉢屋です

駿河からアドレス聞きました、勝手にすいません。
すごく素敵な公演で感動しました!
また見に行きます。

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‥‥‥すごく固い気がする。気がするんじゃなくて間違いなく固い。しかし砕けたメールを送るような仲なのかと言われたら微妙だし、この前駿河から篠崎さんは男に絵文字を使ってほしくないとちらっと聞いた。だとしたらこんなもんでいいだろう。
短いメールだが何回も読み直し誤字脱字を確認。そして恐る恐る送信ボタンを押した。


──メールを送るのにこんなに緊張したのは初めてだ。
恐らくまだ片付けやら何やらやってるから返事は来ないだろう。俺は携帯をズボンのポケットに入れて、帰路についた。





100608

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